Vol.22 時代を飾るキウイ ニュージーランド・ファッションウィーク社長 |
10月19日から24日までロレアル・ニュージーランド・ファッション・ウィークが開催される。今年で3回目を迎えるこのイベントは世界で最初の2004年秋冬コレクションであり、ニュージーランドのファッションを世界中のバイヤーやメディアに紹介する絶好の機会でもある。
世界のファッション・トレンド発信基地である、パリ、ミラノ、ニューヨークなど、昔から多くの注目を集めるファッション都市などと比べると、ニュージーランドのファッションなど取るに足らないと思われがちだが、この数年の間に、何人かのニュージーランド出身のファッション・デザイナーが世界各地でブレイクしている事実を見ると、世界のファッションシーンを語る時にニュージーランド・ファッションを見逃すことができないとも言われるようになって来ている。
基本的にはバイヤー、メディアなど業界関係者のイベントだが、一般も参加できる催しもある。
今年のロレアル・ニュージーランド・ファッション・ウィークは10月19日から24日まで、オークランドのタウンホールTHE EDGEをメイン会場にして開かれます。19日に開会をし、20日から23日まではバイヤー、メディア、評論家などの業界関係者がデザイナーにインタビューをしたり、商談をしたりするトレードショーの機会なのです。また、それと同時にジュエリー、バッグ、シューズなどのファッショアイテムでショーを行わないデザイナーやメーカーなどが出展する展覧会も行われます。過去の2回と違って、開催日が一日長くなりました。それは海外から来たバイヤーが商談にもう一日欲しいと言って来たからなのです。
成長期を迎えているニュージーランドファッション
ニュージーランド・ファッション・ウィークを立ち上げた年、2001年は10月末でした。残念なことにニューヨークのテロ事件の直後でした。初めてのニュージーランドでの大規模なファッションイベントということで、海外から多くのバイヤーやメディアが来ることになっていました。が、ほとんどがキャンセルになってしまいました。来たのはオーストラリアからだけでした。隣の国ということで、ファッションアイテムの輸出入は既に深い関係があったからでしょう。他の国には、まだニュージーランド・ファッションが世界にあまり知られていませんでした。海外からの興味を引き出すだけでも大変だったのですが、見事にキャンセルが相次ぎました。
ニュージーランドファッションの特徴
あるメディアはニュージーランド・ファッションの特徴を新しいベルギーだと評しました。ベルギーは世界のファッションシーンの舞台に遅く出て来て、斬新なデザインで一時的に世界のファッションメディアの注目を集めました。ニュージーランドもベルギーと同じように遅れて世界の舞台に出て来たからなのでしょう。しかし、私はニュージーランド・ファッションをベルギーと一緒にしてもらいたくはありません。ベルギーのファッションはあまりにまじめ過ぎて、ニュージーランドのファッションと正反対に位置すると考えているからです。 と言えるでしょう。例えばオーストラリアと比較するとよく分かるのですが、オーストラリア・デザインはより明るく、開放的でイタリア的なデザインが多いのが特徴です。天候が大きな要素を占めているのではないでしょうか。その点、ニュージーランドは世界地図で他の国から隔離された「ISOLATION(孤立)」がキーワードになっていると思います。離れていることで、他の国からの影響を受けず、また、他の国の真似をすることもなく、自分らしさを追求することになり、これがデザインをする上でオリジナリティに繋がっていると思います。 これほど特徴があるニュージーランド・ファッションです。ですから、ロレアル・ニュージーランド・ファッション・ウィークを実施して、海外からのバイヤーやメディアを呼ぶことができるのです。
毎年新しい才能が生まれる
今回は日本人のデザイナー「Sakaguchi」を始め、5組の新しいデザイナーが参加し、トータルで50組のレーベルまで膨れ上がります。選考には書類審査、面接、作品チェックなどがありますが、最も重視されるのは、「Ready To Export」つまり、すぐ輸出できるかどうかです。このイベントのメインスポンサーは化粧品ブランドのロレアルですが、キーパートナーとして、ニュージーランド政府の関係機関New Zealand Trade & Enterpriseも名を連ねます。ニュージーランドのファッション産業が海外で成功を収めるよう、国内外のネットワークを使い、輸出の後押しをするのです。そうすることでニュージーランドのファッション産業が国際競争力をつける事になるからです。ですから、選考基準に「Ready To Export」が重要視される理由が分かると思います。今回は10組ほどがその基準を満たさないということで、参加を見合わせてもらいました。 メディアの露出度でも莫大なものがあります。広告料金に換算するとニュージーランド国内だけで、第1回目の2001年と2回目の2002年を比べると約2倍の約4百万ドルになっています。
世界中が顧客
ロレアル・ニュージーランド・ファッション・ウィークは毎年10月末に開催されます。それは、今、北半球が2004年の春夏物の季節だからです。南半球にいると季節が逆ですから、半年早めることになります。つまり、2004年の秋冬物となるわけです。 私は一年中、この仕事に掛かりっきりです。毎年このイベントが終わると、各種の支払い、全体の見直しを年末までに終え、年が明けると、世界各地でニュージーランド・デザイナーの知名度を上げるためのマーケティングを始めます。まず、1月に香港、3月にメルボルン、4月はロスへ。5月はロンドン、ニューヨークへ。ニューヨークではロレアル・ニュージーランド・ファッション・ウィークの告知を映画「Lord of the Rings」に絡めて紹介したこともあります。そのあとは再びオーストラリアへ行きます。 さらに、将来、ニュージーランド国内のファッション産業に関わる人材を確保することも私の重要な仕事です。大学やポリテクでファッションを専攻している学生にロレアル・ニュージーランド・ファッション・ウィークの開催中にボランティアスタッフとして参加してもらいます。デザイナーと言葉を交わしたり、影響力の大きい海外のバイヤーやメディアの仕事の様子を目の当たりにするなどの刺激は数年前まではニュージーランド国内では考えられませんでした。キャリアとしてファッション産業を選んでくれる学生が増えれば、ニュージーランドのファッション産業はますます力強くなるに違いありません。 留学したい、体験したい、資格を取りたい、この分野で仕事をしたいという方は、イーキューブ留学セクションまでお問い合わせ下さい。 |