ツアーオベレーター / JTB New Zealand Ltd:加藤 祐介 さん・林 桃子 さん
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英語や専門分野の勉強、ニュージーランドならではの体験、就職のための資格を取るなど、読者のみなさんの夢の実現を応援するイーキューブが今回ご紹介するのは、NZ留学を経て現在JTBで働く加藤祐介さんと林桃子さん。NZのメイン産業でもある、花形の旅行業界で海外就職という、多くの人が抱く夢を実現させた2人にその成功の秘訣を聞いてみた。そして、みんなの憧れのJTBのオフィスを少し覗いてみよう。
加藤 祐介 Yusuke Kato
1978年生まれ。東京出身。高校卒業後、NZへ渡航。IPC卒業。IPCではツーリズム専攻し、3年生の時にオーストラリアにあるIPCのブリスベン校で1年間勉強。日本で旅行会社HISに就職し、窓口業務を担当。2002年にJTB NZに就職。企画商品(パッケージ、メディア)の英文日程表作りを担当。趣味はサーフィン。
林 桃子 Momoko Hayashi
1979年生まれ。兵庫県出身。松蔭大学・英文科卒業。大学2回生の時、クライストチャーチで1ヶ月間語学留学。大学卒業後、NZの専門学校で英語とツーリズムを学ぶ。2002年JTB NZに入社。レストラン、アトラクションなどの予約手配及び予約全般の最終チェックを担当。趣味はお菓子作りと水泳、家事一般、車の運転。運転するのも助手席に乗るのも大好き!
加藤 祐介 さん
NZで留学
高校を卒業し、NZのパーマストンノースにあるインターナショナル・パシフィック・カレッジ(IPC)に進学し、ツーリズムを勉強しました。高校時代英語が一番苦手な科目だったので、それを打開する為に留学を選びました。IPCを選んだ理由は、最初は環境学が学べる学校を探しており、その学科があったということと、英語で勉強するのに際し、英語の出来ない学生のために1年間の強化プログラムがあったためです。ですので大学1回生の時は、IPCの日本人のみの英語強化クラスで英語の勉強をしました。英語については、1年目である程度喋れるようになったので、2年目から、寮生活をしていたのをホームステイに変えました。IPCは当時日本人が8割くらい在籍していたので、極力日本語環境をシャットアウトするためにホームステイにしたことがとても英語力を上げることに役立ちました。また地元のサッカーチームに入って地元の友人を増やし、無理矢理英語環境に自分を入れるようにしました。私自身が人とコミュニケーションを取るのが好きなのも良かった点だと思います。また大学2回生でも、英語クラスでの勉強も続け、英語の他にビジネス、環境学、国際関係など様々な学科を学びました。勉強を進めていく中で、旅行業界で働くことに興味を持ち、3年目からはツーリズムを専攻にすることにしました。現在でも勉強して役に立っていることは、お客様は10人10色なので、固定観念を捨てて接客をしなさいということです。飛行機でビジネスクラスを利用したお客様だからといって、NZに着いた時に良いホテルに泊まって、良い食事をしてという訳ではなく、そのお客様は狭いシートが大嫌いで、旅行が楽しければ宿はどんなに安くても良いという人もいるからです。
留学生活で一番苦労したのは、やはり英語を理解するまでの第一歩でした。特に僕の場合はまったく聞き取り、会話が出来なかったので。克服方法ですか?相手がしゃべっていることが分かれば、後はそれを応用して言ってみればいいだけです。子供が言葉を覚えるのと同じ方法ですね。
NZで就職
IPCを卒業後、日本で旅行会社に就職しました。日本の旅行業界はとても忙しく、また日本で働いていた頃は丁度アメリカでテロのあった時でしたので、お客様の旅行のキャンセルが続いていた頃でもありました。そして日本で1年半働いた頃にNZでの生活が懐かしくなり、NZへワーホリで戻ってくることにしました。NZのゆっくりとした時間の流れが好きだったのと、英語を使える環境で働きたかったからです。働くことを目的として戻ってきたので、渡航直後から仕事を探し始めました。そんな時、私の友人の友人が仲介役となってJTBの社員の方と会う機会を作ってくれました。そして、2回くらいその方と会った後、履歴書を会社の人事担当に渡してくれるということになりました。その後、面接となり採用となりました。私がJTBに就職した時は旅行業がとても忙しく、ちょうどスタッフを必要としていたので、タイミングも良かったのだと思います。面接では英語と日本語で、生活習慣や趣味、仕事に対する意気込みなどを聞かれました。テクニカルなことは何も聞かれていません。業界経験者といっても日本とNZではフィールドが全然違うのは面接官も承知の上だったのではないかと思います。JTBNZにとって必要な人は、この国が大好きな人じゃないかと思います。最終的に絶対にお客さんにその気持ちが伝わるはずなので。
NZで就職を成功させるためには、その会社で働いている人に知り合いを多く作ることが大事だと思います。日本よりも国として若いので、人と人との繋がりで良い風に物事が運びます。後は、タイミングです。会社に空きが無いと優秀な人でも入れないですから、履歴書を一度送って駄目だったからといって諦めないことです。
NZ生活の良さは、日本とは違い自分の時間がたっぷりあるところだと思います。今後は、NZに根を生やす気持ちでいきたいと思っています。
NZ留学の成功の秘訣は?
人、自然と戯れる。学校で勉強するのも重要ですが、卓上の勉強より会話重視です。NZ人は奇策な人が多いので兎に角外に出て話す。臆さないことが成功の秘訣です。
林 桃子 さん
NZで留学
大学2年生の夏休みを利用して、初めて1ヶ月間の語学留学のためにNZへ来ました。その時、出会った人も良く、NZにとても良い印象がありました。就職活動の時期が来て、将来を考えた時に、大学では英語を専攻していたので、もう一度海外で英語の勉強がしたいと思い、NZは治安も良いし物価も安く、勉強をする場所に適していると考え、大学卒業後に再びNZへ来ることにしました。またその時、将来に旅行関係の仕事をしたいとぼんやりと考えていたこともあり、オークランドにある専門学校AIS・St Helens(AIS)で、初めに3ヶ月間語学の勉強をした後、同校の旅行観光学科で1年間勉強しました。殆どの他の学校では同じ内容のディプロマコースを修了するのに2年間はかかりますが、AISは1年で同じ資格が取得できるということでAISに決めました。
AISへ入学後、旅行観光学科に入学するためには、IELTS5.5ポイント又は校内の英語テストでの合格が必要でしたので校内テストに合格するための勉強をしました。特にスピーキングとリスニングの勉強に力を入れました。そのために、テレビを観たり、ラジオを聴いたり、ホームステイ先のホストファミリーと話したり、ホストファミリーにインタビューの練習をして貰ったりして、英語のテストに合格することができました。実際の授業では、チケッティングのコンピュータのシステム、マイレージの計算、航路、国の3桁コード、NZの山や川の名前など様々な勉強をしました。旅行観光学科にはNZ人や色んな国の人がいて、容赦なく早く話す先生とクラスメイトの英語と専門用語で常に英語は難しかったですが、分からないことは積極的に質問をするようにし、何度も同じことを質問しても嫌な顔をせず分かるまで教えてくれた先生や周りの方に助けられて何とかコースを終えることができました。現在の仕事でも、同校で学んだNZの基礎知識がとても役立っています。旅行科での勉強は大変でしたが、あまり勉強したという気はしないような気がします。きっと授業中は必死でも帰る時間になったら帰って遊んでいたからでしょうか。限られた時間でやることをやって、時間がきたら勉強も仕事も忘れて自分の時間を楽しめる。これが私にとってNZでの生活の最大の素晴らしさです。
NZで就職
AISを修了後、英語と旅行の知識を活かしたかったので、日本に一度帰国し、直ぐにワーホリで再びNZに戻ってきました。そしてNZに着いた翌日にJTBの求人募集の広告を見て、履歴書を送りました。募集広告には、経験者募集とか社会経験のある人など色々な条件が書かれていました。私は社会経験が無かったのですが、面接を受けることができました。NZ人のマネージャーと私の当時の上司が面接官で、面接の質問ははっきりとは覚えていないのですが、きっちりと仕事をすること、残業もしなくてはいけないこと、社会経験がない私でしたが、日本でホテルやレストランでの接客経験があるのはよいと言われたのを覚えています。入社して、私の面接をした当時の上司が、お酒の席で「ももこを採用したのは賭けやった。ももこは社会経験が無かったからな!あはは。でも良かった。」と言われたことがありました。私の場合はなぜ採用になったのかは分かりませんが、現在働いているJTBの社員は旅行業の経験者が多いので、旅行業経験者は優遇されると思います。NZで仕事をしたい人は、条件が自分に多少当てはまらなくても、まず履歴書を送ってみるとよいかと思います。私のように社会経験が無くても採用してもらえるかもしれません。そこには運とグッドタイミングがあるかもしれません。
今後は、英語の上達のために、もっと英語を使える環境を作ろうと思っています。また現在はオフィスワークですが、ツアーガイドなど接客の仕事に興味があるので、そういう仕事もできればと思っています。
JTBに入社して4年目
ここまで続いたのは、やはり一緒に働いている人がいいからだと思います。オフィスには社員が50人くらいいますが、社員同士でお誕生日にはケーキを用意したり、仕事の後に同僚と食事に行くのも楽しいです。私の直属の上司は仕事に関してはとても厳しい方です。手配上ミスがあれば厳しく注意され今後同じミスがないように原因を追究します。けれども常に私達を全面的にサポートしてくれるんです。かつて私がした手配ミスで添乗員さんとツアーのお客様に大変なご迷惑をおかけしたことがありました。その時上司が自ら謝罪のため空港まで行って下さいました。とても申し訳なく思いました。「すみませんでした」と私が言った時に「これが上司の仕事でもあるからいいんだ。でも同じ失敗はしちゃだめだよ。」と言われたこの言葉はいつまでも忘れられません。