児童英語教師 / Kindercare Learning Centres:高島 美智子 さん

オークランドシティにある幼稚園キンダーケア・ラーニング・センターで、子供たちに溶け込んで遊ぶ高島美智子さん。現在、児童英語教師TESOLコースを修了し、NZの幼稚園キンダーケアの先生としてワークビザを取得して働いている。慣れた手つきで子供たちのモーニングティーやランチを作り、オムツを変え、NZ人の先生や子供たちとしっかり英語でコミュニケーションをとり、子供たちに囲まれて戯れる美智子さんは、ごくごく普通のNZ人の幼稚園の先生のようだった。
高島 美智子 Michiko Takashima
1982年生まれ。岐阜県出身。高校卒業後、2000年に企業へ就職し、事務職を行う。2004年、NZへワーキングホリデーで渡航。auckland english academy(AEA)で英語を3ヶ月学ぶ。その後、AEAでクリーナーとエクスチェンジで英語の勉強を続ける。2005年3月からAEAの10週間TESOLコースへ入学。同時期に保育園&幼稚園Kindercareで働き始める。現在ベイビークラスを担当。COOK兼ティーチャーアシスタントとして働く。趣味は、バレーボールと絵を描くこと。
NZの幼稚園で働くきっかけ
幼稚園キンダーケアを訪ねると、子供たちに溶け込んで遊ぶ美智子さんの姿があった。『ミチコ、ミチコ』と子供たちに囲まれて遊ぶ美智子さんは、実は2年前にNZに来るまで、子供とは全く縁のない生活を送っていた。NZに来てから、美智子さんにとって全く新しい世界が広がったのだった。
美智子さんは、日本で高校を卒業して、企業でオフィスワークを4年と2ヶ月した頃に会社を辞めることを決めた。そして、その時、今できることを何かトライしたいと思ったそうだ。NZに美智子さんの友達がワーキングホリデーで来ていたことから、NZへ来る事を決意した。「当時は英語も全く喋れなかったので、エージェントの方に勧められたオークランド・イングリッシュ・アカデミー(AEA)の英語のコースで英語を勉強することにしました。」
美智子さんは、2004年6月にNZへ渡航。その後、9ヶ月間英語の勉強をし、昨年3月から、同じ学校で開講されていた10週間TESOLコースに通った。「そんな時、同じ学校の幼稚園のボランティアコースを卒業してキンダーケアで働いていた日本人女性が、キンダーケアで人が足らないということで、園長にAEAの生徒でいい人を紹介して欲しいと言われ、TESOLコースをその時丁度受けていた私が紹介され、そのまま採用となりました。NZでは幼稚園の先生が不足していることも私を採用してくれた背景にあるのかもしれません。」とてもラッキーだったと語る美智子さん。その後、毎日午前8時半から午後1時半までキンダーケアで働き、午後2時半から午後5時半までTESOLコースで勉強する毎日を過ごしたという。
児童向け英語指導者TESOLコース
「TESOLコースというのは、日本の子供も含めて幼児から小学校低学年までの子供たちに英語を教えるためのスキルを学ぶコースで、ゲームや歌、様々な活動を通して子供たちが楽しく英語を学べるように教育指導を行う方法を学ぶコースです。」と美智子さん。「授業では、子供に英語を教えるために使うゲームについて学び、最後に自分でゲームを作ったり、絵本を読む時の発音や文章をどこで区切ってどのように読むかを学んだり、アルファベットの教え方、発音、動物や乗り物などテーマに沿った英語の教え方、英語というものを知らない幼児などを対象とした一番初めの英語のレッスンの行い方、歌とダンス、数字、単語などの教え方について学びました。そして、2週間に1度、金曜日に幼稚園や小学校で実習を行って、実際に子供を前にして子供の反応を見ながら学習しました。」
AEAのTESOLコースは先生がキウイなので日本語で学ぶのではなく、英語で学ぶ事が出来るここと、1時間半自主学習の時間があり、AEAのコンピュータールームで自分の発音チェックやリスニングの勉強ができる事も良かったという美智子さん。また、美智子さんは、AEAという学校を選んだことが現在に繋がっていると強く感じている。「同校のTESOLコースはNZQAで認定された最初のTESOLコースで、就職率がとても高いのですが、卒業生たちが働くNZの幼稚園でとても評判が良いのが、現在の私の就職に繋がったのだと思います。私の勤めるキンダーケアでも数人アジア人の先生が働いているのですが、全員がAEAの卒業生です。また、海外でも多くの卒業生が活躍しているようで、同じコースを修了して日本に帰った友人も幼稚園の英語の先生や大手の英語学校の児童英語の先生として採用されて働いています。」
幼稚園の仕事・文化の違い
「現在ベイビークラスを担当していますが、最初は、怖くて赤ちゃんを抱っこできなかったんです。」と語る美智子さんもキンダーケアで働いて1年が経った。現在は、子供と遊ぶのは勿論、モーニングティーやランチ、アフタヌーンティ作り、食材のオーダー、掃除、オムツの交換など、多くのことを任されている。
美智子さんは、そんなキンダーケアの日々の仕事の中で、日本との違いに大いに刺激を受けているようだ。「TESOLコースでは、子供をできるだけ誉めるようにと習ったのですが、その時習った誉め方や注意の仕方がとても役立っています。『Well done』と感情を込めて言うなど、どういう言葉で誉めると子供たちの成長に役立つとか、注意も『それは違うよ』と頭ごなしに否定するのではなくて、『なぜそういうことをするのかな?』とか『それはちょっと違うかな』と言って少し考えさせるようにするのが良いと学んだのですが、実際に、キンダーケアでもNZ人の先生が毎日のように、子供たちを褒める時に『Clever, Clever!!!』と日本と比べてとても大袈裟なくらいに言っています。でもそう言われると、赤ちゃんも分っているようで、凄く喜んでいます。そして、一番驚いたのは、『嫌いなことははっきり言いなさい』と自分の意思を漸く伝えることができるようになってきた子供に教えるところです。例えば、他の子供に玩具を取られて泣いている時に、ちゃんと言葉を使うように教え、『I don't like it.』と言いなさいと教えます。先日、中国人の子供が『I don't like it.』と強く言えなくて、弱弱しく言っていたのですが、『もっと強く言いなさい』『もっとはっきり言いなさい』とキウイのベテランの先生がけしかけていて。日本だったら、両成敗だと思うような場面でもこのように意思をはっきり伝えることを教えます。ご飯の時も嫌いなものは嫌いで済まされます。勿論、食べなさいとは言うものの、結局みんな嫌いなものを残しています。」
幼稚園の仕事・遣り甲斐
子供たちの成長を見ることや子供たちとの信頼関係ができていくことが仕事の遣り甲斐だという美智子さん。「ハイハイしていた赤ちゃんがヨチヨチ歩きをできるようになっていくことや、喋れなかった子が一生懸命私を呼んでくれるようになったり、日本語の手遊び歌を、赤ちゃんが楽しそうに手遊びしたり踊ったり、子供たちの成長を見るのがとても楽しみです。まだ話すことが上手ではない赤ちゃんに『美智子はどこ?』と他の人が質問すると私の方を指差してくれる時は最高ですね。また、親御さんから『私の子どもはあなたの事が大好きなのよ』と言われた時もとても嬉しかったです。」元々イラストレーターになりたかった美智子さんにとって幼稚園の先生というのは、NZに来るまで全く考えてもみない仕事だった。でも、今では、すっかり子供の魅力に引き込まれ、『子供になつかれるととても嬉しくて』と子供を誰よりも愛するママのように幼稚園での話をしてくれる美智子さん。
「将来は、子供のために絵本を作るための勉強をしたいなと思っています。これまでにもう40冊くらい絵本をNZで買って日本に送ったんですよ。NZで幼稚園の先生をしたから、子供に関係する仕事をしたい気持ちになったんです!」
取材を終えて、再び、キンダーケアの子供たちの中にすっと溶け込んで行く美智子さん。『ミチコ、ミチコ』と無邪気な子供たちの笑顔に囲まれたいつもの日々の中へと。
Kindercare Learning Centre 園長Karen Goulderさん
AEAの実習で来る学生は、とてもフレンドリーで、働き者で、子供たちといつも遊ぶ姿勢でいる先生ばかりだし、他の先生方をとてもサポートしてくれたり、本当にラブリーな生徒たちばかりです。実習でキンダーケアに来る生徒は、しっかり英語を話せるのだけど、幼稚園の環境はずっと英語を使わないといけないので、生徒たちの英語力アップにとっても役立つと思います。