E-CUBE 2005年08月

VOL.43 8月号


NZで活躍する日本人

時代を飾るキウィ




自由時間 : ワーキングホリデーやスチューデントで活躍中

<獣医師:及川 悦子 さん | メイン | 合気道:後藤 麻衣 さん>

オペア:比嘉 新子 さん

比嘉 新子 さんNZの一般家庭で、理想の家族像を見つけました。

子供の世話や家事をする代わりにベッドと食事を提供されるオーペアとして、NZの一般家庭リチャードソンファミリーと生活を共にしている比嘉新子さん。当初の目的は英語を習得することだったが、英語以外に、彼らの夫婦間、親子間のコミュニケーションを目にしたことで、英語でのコミュニケーション以前の、人としてのコミュニケーション法を学んだ。

比嘉 新子(ひが しんこ)

1978年生まれ。沖縄県糸満市出身。2005年3月にワーキングホリデー制度を利用してNZへ。オーペアとして、一般家庭で子供の世話や家事をしながら家族と生活を共にする。平日5時以降の自由時間には、コミュニティーの英会話レッスンに通ったり、サルサダンスを習ったりしている。

オーペアに興味のある方はピュアホリデーのウェブサイトまで。

ともと洋画を見るのが大好きで、字幕なしで見られるようになりたいと常々思っていました。短大卒業後は同短大の視聴覚室助手として2年間働いていましたが、海外に行けば英語が理解できるようになるのではないかという単純な発想から海外行きを思いつき、行き先はまだ決めていなかったのですが、とりあえずは渡航資金を貯めるために、短大での仕事を辞めてアルバイトを始めました。
 あるとき、毎回様々な国での海外生活を紹介する「バリバリバリュー」というTV番組で、NZでオーペアの斡旋をする会社を知りました。一般家庭で子供の世話や家事をする代わりにベッドと食事を提供され、お小遣いまでもらえるオーペアだったら滞在資金も少なくて済む、NZは安全な国だと聞いていたし、ワーキングホリデー制度があるため長期間滞在できる、それに、何より英語圏の一般家庭の中に入って生活でき、子供の世話をしながら子供と一緒に英語を学べるオーペアは、英語の勉強に打ってつけの環境だと思い、行き先をNZに決めました。早速その会社に連絡を取り、今年3月にNZへ旅立つことになりました。

受け入れ先の家族はみんなとても親切で、子供たちともすぐに仲良くなれた

NZ 到着後、最初の3日間はオーペアの準備期間として、日本人の奥さんがいるファミリーの家で滞在し、NZでの一般的な生活習慣などを教えてもらいました。NZ流のすすがない食器の洗い方や、お湯は各家庭のホットウォータータンクに貯められている、電気で沸かしたものを使っていること、食事はシンプルな味付けでジャガイモが主食なことなど、詳しく教えてくれたので緊張が解けました。
 私の受け入れ先のリチャードソンファミリーは、ビルダーのリックと看護婦のトレーシー、それに4歳のデイモンと2歳のブライデンの4人家族です。私にはちょうど子供たちと同年齢の姪がいて毎週のように遊んだりしていたのですが、男の子の場合どんな遊びをしたらいいのかわからず最初は戸惑いましたが、二人ともとても人なつっこい性格で、すぐに仲良く慣れました。
 彼らといつもよくする遊びは、鬼ごっこならず、モンスターごっこやシャークごっこで、家の中や庭を一緒に走り回っています。デイモンはおもちゃの剣を振り回して元気に動き回るような遊びが好きなのに対して、弟のブライデンDVDを見たりトーマスの人形で遊んだりなど静かな遊びが好きというように、同じ男の子の兄弟でも好みは対照的ですが、3人一緒に遊べるように二人ともが興味を示すような遊びを工夫しています。例えば私がソファーのクッションと毛布で作ったハットは子供たちの大のお気に入りで、毎回子供たちは中に入ったり上に飛び乗ったりと大はしゃぎで、見ている方まで楽しくなります。
 英語は特に苦手だったわけではないのですが、語彙が少ないうえに「LとR」、「BとV」、「th」などの発音が上手くできないため、コミュニケーションが思うように取れず、日本でもっとしっかり英語を勉強してこなかったことを後悔しました。子供が転んで泣いているとき、気の利いた言葉が何も出てこなくて、「You are all right」を何度も繰り返しているときなどは特に、英語の勉強の必要性を痛感します。
 子供たちの英語は早口で分かりづらいこともよくありますが、理解できなかった単語はその都度書き留めておき、あとでリックやトレーシーに聞くようにしています。リックもトレーシーもとても親切に単語の意味や文法、発音の仕方などを教えてくれるので、とても良い勉強になっています。加えて、毎日英語に触れているせいもあってか、少しずつではありますが耳が英語に慣れてきたような気がします。

リチャードソンファミリーはお互いを尊重し合う理想の家族像

平日は子供たちの起床時間に合わせて、朝は7時前に起き、子供たちを着替えさせたあとはベッドメイクに朝食の準備、それから洗濯、昼食の準備、そしてその合間に子供たちと遊ぶのが日課です。子供たちに怪我をさせては大変なので、何かあったときにはすぐに対応できるように常に彼らのそばにいて、目を離さないように気をつけています。公園などでは二人ともバラバラに走り回るため追いかけるのは大変で、子供の活力にはいつも脱帽させられます。
 彼らを見ていて感じるのは、自分の子供時代や姪と比較してNZの子供はのびのびしているということです。それは、NZは周りに自然が多いということ以外に、親の子供への接し方の違いが大きく影響しているのだと思います。例えば子供が何か悪いことをしたとき、日本ではよく、「ダメ」と言うだけで、何がどうダメなのかを説明しない親をよく見かけますが、NZでは親は「ダメ」と頭ごなしに否定するのではなく、とことん説明してそれがどうしてダメなのかを子供自身に納得させます。また、子供が飲み物をこぼしたり、庭の泥水を飲んだりなど、些細なことでも日本では大騒ぎしがちですが、NZの家庭では「大丈夫、大丈夫」といった感じで、対応はいたっておおらかです。
 それに、日本では一般的に男性は仕事に追われ子育ての時間がなかなか取れないためもありますが、NZでは子育ては母親だけの役割ではなく、父親も積極的に子育てに参加しています。また、親子間のスキンシップは断然多いし、褒め上手で、親は自分がどんなに子供たちを愛しているかを本人にきちんと言葉で伝えます。何より、親は子供を未熟な子供としてではなく、一人の人間として扱っているように感じます。もちろん自分の両親のことも大好きですが、こんな風に育てられた子供はきっと幸せだろうなぁとうらやましく思ったりもします。
 夫婦関係も素敵で、リックとトレーシーは、帰宅したときには必ずお互いに「I love you」と「I missed you」の言葉をかけてキスをするし、今度の結婚6年記念には、リックがトレーシーに内緒で予約したオペラコンサートのチケットをプレゼントして驚かせる予定だったり、今でも恋人同士のように仲が良く、二人は私の理想のカップルです。親子関係でも夫婦関係でも、日本にありがちな「今更、言わなくてもわかる」ではなく、お互いがお互いを思いやっていることや感謝の気持ちをきちんと言葉にして相手に伝えることが、良い人間関係を築くうえでいかに大切かのお手本を見せてもらっているようです。リチャードソンファミリーは、家族を構成するそれぞれがお互いを尊重しあっている映画の中の家庭のようで、私もいつかこんな家庭を築きたいです。

知り合った仲間達との交流に支えられた

私と同じようにこの会社でオーペアを始める新しい仲間が増えるたびに、みんなが集まってパーティーを開きます。そこで同じようにオーペアをしている仲間と出会い、新しい仲間が安心して受け入れ先ファミリーでの生活に入れるように仲間同士がお互いに支え合えるので、一人で不安になることもありません。そして、そこで知り合った仲間と毎週末のようにオークランドシティーに行ったり、ベイ・オブ・アイランドやタウポに旅行したりすることは、NZでの生活をよりいっそう楽しく充実したものにしています。
 また、カウンセラーが定期的に受け入れ先ファミリーでの様子を見に来てくれ、何か困ったことがあったり習慣の違いから不安になっても、いつでも相談すれば親身になって一緒に解決策を考えてくれるので、とても心強いです。頼れるお姉さん的存在で、よく仲間と彼女の家にも遊びに行きます。
 残りのワーキングホリデー期間の過ごし方については、興味のある写真やグラフィック、絵画を習うことや、南島への旅行など、現在計画中ですが、お世話になったリチャードソンファミリーやオーペアの仲間とは、今後も交流を続けていきたいです。

オペア:比嘉 新子 さんと連絡を取りたい、勉強したい、体験したい、資格を取りたい、この分野で仕事をしたいと言う方はイーキューブ留学セクションまで、お問い合わせ下さい。

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