E-CUBE 2002年05月

VOL.4 5月号


NZで活躍する日本人

時代を飾るキウィ




自由時間 : ワーキングホリデーやスチューデントで活躍中

<ボーンカービング:飯塚 瑞穂 さん | メイン | ワーキングホリデー:斉藤 綾子 さん>

翻訳部門のオペレーター:坂名 由希子 さん

坂名 由希子 さんデザイン会社で翻訳部門のオペレーターとして活躍。仕事でもプライベートでもワーキングホリディ生活を満喫している。

 「日本では社長秘書をしていました。内容はスケジュール管理などの秘書業務一般でしたが、もう一つ大切な仕事がありました。実はその社長は健康マニアで毎日お昼ご飯にはフランスパン2切れ、納豆、5日間酢漬けにしたウコッケイの卵、アロエと牛乳をミックスしたドリンクという定番のメニューがありました。その用意が私の大切な仕事?でした。本社ビルの脇にはこっそりアロエを栽培したりもしていました」

坂名由希子。
1977年生まれ。福岡県出身。中村学園大学児童学部児童学科を卒業後、金融会社の総務部秘書課に勤める。その傍らにはベトナム雑貨を扱う店でもアルバイトをしていた。

由希子さんがニュージーランドに来た理由は意外なところにあった。

 「もともと、長い期間旅行がしたいという希望がありました。それが可能で私の趣味であるジュースの空きビン集めの楽しそうな国がニュージーランドでした。
 私は学生の時にジュースの空きビンに興味を持ちました。近所の駄菓子屋で偶然見つけたコカコーラを真似たビンを見つけたんです。カタカナでコーラドンと書いてあり、中身はコーラのようなコーラでないような飲み物が入っていました。それがキッカケで県内のジュース工場を周わって歩こうと思いました。
 ところが一軒目を訪れたときのことです。その工場の人たちに不審な目で見られたんです。それはそうですよね、20歳そこそこの私が突然工場に来てジュースのビンを売ってくれと言い出すんですから。それに、工場の人たちにとっては売っているのは中身のジュースであり、ビンではありません。ビンだけ売ってくれと言うのは失礼になるんだと思いました。
 そこで、秘策を考えました。それは卒論のテーマにするということです。工場の人にはジュースで論文を書くという話をして快く譲り受けていました。相手からも不審がられることはありません。ただ、ビンだけ貰うのは気が引けましたので中身もちゃんと頂くことにしました。結局、工場は全部で10軒程行きました。その他はアンティークショップや雑貨屋さんなど目についたところは全て覗いていました。
 卒論のテーマは『ラムネの歴史について』でした。ジュースのルーツを追っていくと起源がイギリスにあることを知りました。それでイギリスからの移民が多かったニュージーランドにはお宝のビンが眠っているのでは?と思い、ここに来ました」
 飛行機のチケットと一週間分のホテルだけを予約して飛び込むようにニュージーランドに来た由希子さん。一週間でフラットを見つけたことは運が良かったのだと言う。
「とにかく早く行きたいという思いがありましたので後のことは考えずに日本を出ました。今にして思えば少し無茶だった気もします。もし、フラットが見つかっていなかったら路頭に迷うところでしたから。これから来る人達にはあまりお勧めできる方法ではありませんね」

その後、由希子さんは英語学校に通い始めた。そこで3週間だけ受付のアルバイトをすることになった。

 「学校が終わったとき私の英語のレベルはインターミディエイトでした。今の会社の社長Michaelさんに会ったのはその時です。彼はデザイン会社を経営しており、私が通っていた学校のパンフレットも作製していたため、何度も学校に出入りしていました。受付で私が対応しているうちに仲良くなり彼の会社の翻訳部門で働くことが決まったんです」

 キウイの社会に飛び込もうとするとき、自己アピールは大切な要素になってくる。自分がどんな人間なのかを相手にハッキリと伝えなくては物事が進まない。実際に面接をした社長のMichaelさんは由希子さんについてこう語ってくれた。
「多様な人種や民族が生活するオークランドでは単にデザインを創るだけの会社では今後生き残ってはいけないと常々、思っていました。どの言語にも対応できた上でのデザインというのが今は求められています。私の会社ではそれに伴い翻訳部門の開設を試み、アジアを理解している人材を捜している時に彼女のことを知りました。私は彼女のモラルやマナーというものに大きな魅力を感じました。それが社員採用時の最優先事項になります。チームで仕事をするには社内の雰囲気が作品に大きく影響しますから。
 彼女にはこの業界での経験がありませんでした。しかしそれは大きな問題ではありません。業界の技術や知識といったものは後から覚えれば済むことです。そのために研修制度があるのです。しかし、モラルやマナーといったものは個人の価値観ですから研修で変えられるものではありませんからね」

新人の由希子さんの業務の中心は、キウイの企業から送られてきた名刺などの原本を韓国語あるいは中国語でタイプアップしていくことである。

 「ファックスやメールで送られてきた中文や韓文で書かれた原稿を中国語や韓国語のフォントを使ってコンピューターに入力していきます。中国語の入力はまず、漢字の画数をみます。そして画数から辞書を引いて発音を調べ、その発音をアルファベットで打ち込んで表示させます。韓国語の入力ではPCにあるハングルの一覧表から文字を引っ張り出します。韓国語のハングルは学生の頃にNHKのラジオ講座を聞いて勉強していましたので中国語に比べて多少作業が楽です。
 現在はもっと長い時間、ニュージーランドに滞在したいと思っています。そのためにワークビザを申請しようと思っています。英語や韓国語の勉強もしたいですし、好きな旅行にも行きたいと思っています。もちろんこの国で納得のいくまでジュースの空きビンも集めたいと思っています」
 
 行動力と自己アピールで現在の仕事を得た由紀子さん。彼女の本当の実力が試されるのはこれからかもしれない。

翻訳部門のオペレーター:坂名 由希子 さんと連絡を取りたい、勉強したい、体験したい、資格を取りたい、この分野で仕事をしたいと言う方はイーキューブ留学セクションまで、お問い合わせ下さい。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/193