ID Tours NZ Ltd. / Japanese Tour Guide:高木 久子「チャコ」 さん

旅行者にとって、ニュージーランドの最初の顔になるツアーガイド。その力量如何で、この国の印象が大きく違ってくる。それは知識や経験もさることながら英語力が影響することも大きい。チャコさんの愛称で親しまれている高木久子さんは10年以上のキャリアを持ち、あるバス会社のドライバーがウワサしている「英語のコミュニケーションで全く問題がない日本人ガイド」の中の一人である。
ID Tours NZ Ltd.
Japanese Tour Guide
Hisako Takagi
高木久子「チャコ」
名古屋市出身。愛知淑徳大学文学部英文科卒。小学校3年生の時に本屋で見かけた英語の練習帖を自ら買い求め、見よう見まねで書いていた。そのため、単語の意味は読み方や意味はわからないものの、中学に入った時にはすでに筆記体まで書けていた。そこに私の英語好きの原点があるかもしれないと語る。
英語との関わり
高校生のときです。漠然と英語が話せるようになったらいいなと思って、近所の教会の英会話教室に通い始めました。スウェーデン人の宣教師さんが週1回、クラスを開いていました。生徒の数は3、4人。そこでは毎週、先生がプリントを作ってきました。内容は英会話で使う言い回しが数点書かれているだけのシンプルなものでした。授業は、それを練習した後、プリントのトピック、映画や音楽について自由討議をするという形でした。とにかく相手の言っていることをよく聞き、自分でもどんどん発言するようにしていました。しかし、自分が理解できたのか、また相手に理解してもらったのか、よくわからないこともありました。
ところが、通い始めてから2、3年したときです。私は、ある日突然に英語が理解できるようになったのです。
それは、先週のクラスでは「うーん」と考え込んでいたことが、今週のクラスからはダイレクトに英語が頭の中に入ってくるようになったのです。自分でも不思議でした。それまでの過程で、自分自身では英語が上達している感覚があったわけではないので、すべての回路が瞬時につながったという感じでした。今にして思えば週に1回ですが、ネイティブの英語にいつも触れることを地道に続けていた成果が一気に出たのだと思います。
習得方法1 (Writing)
それから、英語がこれまで以上に好きになりました。学校でも、他の教科は全くダメだったのですが、英語だけはスラスラ理解できました。もちろん文法や英作文などはちゃんとやっていましたよ。その時には英単語を何度も、何度も、書いて覚えるということをしていました。書くことによって視覚で捉えて記憶するということです。視覚で捉えることは私の英語習得では重要な意味を持ってくるのです。
習得方法2 (Listening、Speaking)
ある日突然につながった英語の回路。それからは流暢に話すためのスピードが必要だと思うようになりました。結果的には、という話ですが、ポップスを聞くことが勉強になっていました。当時、流行っていた、ABBA, Elton John, Sheena Eastonが好きで、その曲の歌詞を丸ごと覚えていました。暗記することで、言い回しを覚え、流れる曲と同じスピードで口ずさむことで、話すスピードや英語のリズムをつけていました。歌詞カードを見て覚える、歌うときには頭の中でその歌詞カードを見て歌う。単純に好きだから歌っていたこの方法が、私の英語の話し方の基礎となりました。
実は私は英語を使って話をしているとき、少し難しい単語の場合は頭の中に書いたスペルを読んで、それを言葉にしています。頭の中に出てきた単語を見て、THなのかSなのか、RなのかLなのか、それで発音をします。スペルがわからないと発音できなくなってしまうこともあります。ですから、しっかりとスペルを頭に入れ、「読む」ことで正しい発音を心がけています。
仕事での英語1
大学を卒業してから1年間、研究生として学校に残りました。その後、中学校の先生をして、そしてオーストラリアにスクールインターンシップで行きました。当時の派遣先はアメリカが主流でした。オセアニア方面の派遣はその年度が最初だったと記憶しています。
英語を使ってオーストラリアの小、中、高校生に日本の文化を伝えるというプログラムですので、習字、折り紙、相撲などのスタンダードなものをはじめ、ラジオ体操、英語の俳句などで授業をしていました。
私が派遣されたのはブリスベンの近くにある人口7万人くらいの町で、そこには私を含めて日本人は2人しかいませんでした。
これは本格的にネイティブの英語に触れる初めての機会で、英語を話すスピードを飛躍的に上げてくれました。毎日24時間英語でしたから、意識こそしませんでしたけど、必死だったと思います。
また、初めてスラングの英語にも触れました。教会や大学ではスラングは教えませんからね。私の英語の覚え方は歌と同じで言い回しをそのまま丸暗記します。その際にスペルもしっかり尋ねます。スラングも同じように、友達の使っている言葉をそのまま頭に入れていました。それで何度も恥ずかしい思いをしたこともありますよ。スラングですからここでは言えませんが、特に男の友達が使っていた言葉を同じように覚えて使ってしまって、目を丸くされたこともありました。
ニュージーランドとの関わり
お肉の匂いがする国だ、それが私のニュージーランドの印象でした。
大学3年生のときにホームスティのプログラムに参加して、1ヶ月程ハミルトンに滞在しました。私が感じたのはどこへ行っても日本では嗅いだことがない、お肉のいい匂いがする国だということでした。
それから86年にワーキングホリディで戻ってくるまで、旅行で2、3回来ていました。来てすぐに、ハミルトンのホームスティ先に再びお世話になっていました。しかし、仕事をしたいと思い、旅行会社をまわり、ツアーガイドの面接を受けました。そのときに決ったのが今の会社でした。
仕事での英語2
ツアーガイドとしての初めての仕事は県会議員のツアーでした。ツアーのことは今でも覚えています。お客様がシープスキンを買いたいとおっしゃったので、私は羊の皮のジャケットだと思ってしまい、洋品店にご案内したのですが、どうも探しているものが見つからない様子。よくよく聞いてみると羊の革の敷物が欲しいということで慌てて移動しました。
ツアーガイドとして英語を最も使う場面は空港、ホテル、車中でのドライバー、といったところだと思います。これらで使われる英語は英会話の本でも紹介されていますので、決して難しいものではありません。それだけに余計に気を遣います。ただ、単純にこちらの意志を伝えればいいという言葉では、関係がギクシャクします。場合によってはYESのものがNOになってしまうこともあります。自分では普通に言っているつもりでも、相手は強い表現で捉えていることもあるので、丁寧にやわらかい表現をするようにしています。例えば、空港で、お客様の席を取るときに「Window side please」とだけ言うのではなく、「Would there be any chance of having window seats?」と言ってみたりすれば、相手の心象も違ってきます。言葉を受け取る相手を常に意識した英語を話すようにしています。これは英語というよりも、気持ちの問題かもしれませんね。
そういった場面の英語以外では、通訳ガイドという仕事もあります。これは通常のガイド業務に通訳がプラスされます。私の場合ですと、酪農関係のファームへ行ったり、教育関係で学校へ行ったり、そこで日本から来た視察の方たちと現地の方たちの間に入って通訳をするということが多いですね。
通訳ガイドの仕事が入った場合は必ず事前準備をします。専門的な単語を頭に叩き込んでおく必要があるからです。いちいち「その言葉はどういう意味」と聞いていられませんから、資料を取り寄せたり、図書館に行ったりして単語を調べてツアーが円滑に進むようにしています。
今でも英語に関しては勉強が必要だと感じています。幸いなことに周りにはネイティブがたくさんいますから、わからない言葉があれば、すぐにスペルと一緒に聞くようにしています。家に帰って辞書で引くより早いですからね。それと、ワールドテレビに加入していますので、NHKの英語のニュースを見るようにしています。そこで出てくる表現や、現代用語は仕事だけでなく通常の会話でも必須ですからね。また、新聞を読むときにはどういう文法になっているのかを考えて読むようにしています。
今後もニュージーランドの人が当たり前に知っている知識や事象をもっともっと勉強して、仕事に役立てていきたいと思います。
高木久子さんの上達ポイント
- 上達を感じなくても英語のレッスンは続ける
- 単語を覚えるのは耳だけでなく視覚も使う。覚えた頭の中の単語を読んで正しい発音
- 歌で英語のリズムとスピードをつかむ
- 知らない単語はスペルと一緒に、すぐに聞く、聞いたらすぐに自動的に出てくるまで使い続ける
- NHKの英語ニュースで時事単語を増やす