ブランドショップマネジャー:松田 法子 さん
このお仕事が長続きしている理由は、トレリスの哲学が好きだからです。
セレブ達に愛されるNZのトップ・ブランドのひとつ『トレリス・クーパー』。トレリスの店は客が絶えることがない。店内では、セレブたちが華やかで可愛げのあるトレリスの服を手に取り、店員と優雅に会話をしている。そんなハイクラスのNZ人を顧客とするNZを代表するブランド『トレリス』のパーネル店で、マネジャーとして全てを任されているのが、とっても自然にNZに溶け込む松田法子さんなのである。
Noriko Matsuda
松田 法子(まつだ のりこ)
Store Manager / Trelise Cooper Parnell
1971年福岡県久留米市生まれ。NZ有名ブランド・トレリス・クーパーのブティックで働き始めてから5年。現在、NZセレブを顧客に持つパーネル店でマネジャーとして働く。トレリスはチャリティのファッションショーが多く、そこではモデルの経験も。モデルがしてはいけない3つ「ジャケットを脱いで下の服を披露しない」「食べ物を口に入れてショーにでない」「友達に手を振る」をしてしまったとニッコリ笑う法子さん。一番楽しい時間は、友達との週末のParty!今年7月サンデーペイパー『Sunday Star Times』のGirl about Townのコーナーで紹介される。
Trelise Cooper パーネル店
536 Parnell Rd, Parnell, Auckland
Ph 09-366-1962
www.trelisecooper.com
日本での多くの経験
「トレリスで働くまで、色々なことをしていました。」とNZで最も有名なブランドのひとつ『Trelise Cooper(トレリス・クーパー)』のパーネル店のトップとして働く法子さん。高校卒業後、企業に就職。データ入力や受付、灰皿の片付けなど全てを行う事務系のOLとして2年間働いた。その後、福岡国際空港でセキュリティの仕事へ転職。小さな頃から海外には興味はあったが、空港の国際線で仕事をしたことをきっかけに一層海外への興味が膨らみ始めた。その間、夜間にウエイトレスや多くの仕事をしていたという。そして法子さんが22歳の時、そんな日本の毎日に一度ピリオドを打つことにした。
NZ
「英語も全く話すことができずに、誰も知らずに、12年前、NZへワーキングホリデーで来ました。」NZらしいピュアなハートとナチュラルな会話で、トレリスのショップに入ってきたお客様の接客しながらもスタッフに心配りを忘れない法子さん。そしてキーウィの友人に囲まれNZ生活を送る法子さんの始まりも、ごく普通のワーキングホリデーメーカーだった。 法子さんはNZに着いてすぐに仕事を探し始めた。「たどたどしい英語で履歴書を作って、クイーンストリートにある全てのお土産物屋さんに配って回り、OKギフトショップから仕事を頂きました。」ワーホリビザ終了前に日本へ帰国。再びNZへ学生として渡航。マオリの洋服店の『Kia Kaha』で店員をし、その後NZ航空のグランドクルーとして働いた。「シフトワークが体に合わなくてNZ航空を辞めたのを機に、以前から希望していたファッション関係の仕事に就きたいと思い、デパート『Smith & Caughey』のコスメティック売り場のエステローダで働いていました。そこで1年半働いた頃に家庭の事情で日本へ一時帰国することになりました。」
トレリスとの出会い
法子さんは日本に一時帰国する前に、トレリスのお店のフラワーアレンジメントをしていた友人の母の仕事を手伝うために、一緒にトレリスのショップに行った。それがトレリスとのはじめての出会いだった。「日本から帰って来たら店に寄りなさい。」とトレリスに言われ、2000年に戻ってきた時に彼女と再会し、トレリスのショップでアルバイトをすることになった。「はじめは週に2日くらいのペースで働いていたのですが、2ヶ月後にフルタイムで働くことができるようになりました。」
トレリスの哲学が魅力
「ここで働いていた5年間、もちろん良いことばかりではありませんが、このお仕事が長続きしている理由は、トレリスの哲学や価値観が好きだからです。彼女はお店を経営する上で、お金が一番ではなく、女性らしい感覚でビジネスをしています。スタッフを選ぶ時もセールスのスキルで選ぶのではなくて、お客様に優しくしてあげることのできる人を選んでいます。」ショッピングが好きでよく海外へ行くトレリスにとって、このお店は彼女のドリームショップなのだ。「彼女は、店の飾り付けも大事ですが、彼女自身がお客様だったらどうして欲しいかということ考えて接客を行うことを一番大切に思っています。」
マネジャー
3年前からマネジャーとして働いている法子さん。「私の性格が気に入って採用を決めたとトレリスに言われたことがあります。マネジャーにして頂いたのもそれが理由だと思います。」 「トレリスの店で働く販売員にはノルマがありません。チームワークで販売しています。お店の雰囲気を大事にし、お客様が楽しんで帰って頂ける雰囲気をつくるように心がけています。」そのために、法子さんがスタッフを選ぶ時に気を付けていることは、現在、お店で働いているスタッフと合うかどうかだそうだ。 「私のセールスを行う上でのモットーは、お客様に嘘を付かないことです。服が似合わない時には似合わないとアドバイスしています。私が嘘を付かない人間だ、とお客さまは私を信頼して下さって、またお店に来て下さる方も多いです。他にも、お客様は外見では判断せず、全てのお客様に心地よく思って頂けるような接客を心がけています。どのような接客かということは具体的に言葉にするのは難しいので、是非お店に来て味わって下さい。ただ、名前を覚えて頂くと私も嬉しいと感じるので、お客様の名前は必ず覚えるようにしています。そしてVIPの方の名前は全員覚え、VIPの中でも特別な顧客に関しては彼等のお子様の名前まで覚えています。」取材時も店に絶えず入って来る周りの人に気配りを続ける法子さん。トレリスの服は決して安くはないが、NZはパーティが多いので、そういう時のためにトレリスの服を購入するケースが多いそうだ。
NZファッションウィーク
「NZファッションウィークが始まって以来、トレリスの人気が年々上がっていっています。ファッションウィークでは、近年、私はお客様の接待をしています。お客様によりショーを楽しんで頂くためのお手伝いです。」VIPのお客様と一緒に法子さんは今年のショーを楽しんだ。「今年も私がお話をした方々は、皆さんショーにとても満足して下さっていて、もう既に冬のコレクションを楽しみにしていらっしゃるようでした。」服が華やかな色使いとデザインなのでステージで栄えるトレリスのショーは、どこかスペシャルで神秘的でいつも観客を魅了する。「VIPの方だけではなく、今年のトレリスのショーはとても好評で、特にランジェリーのコレクションに注目が集まりました。海外ではアメリカのニューヨークとLAで特に人気があります。ウエストハリウッドのメルローズストリートにある高級ヴィンテージショップのDECADES(ディケーズ)のオーナーCameron Silverもトレリスの店を訪れ、『トレリスがLAでなぜあれ程までに人気があるのか理由がわかったよ。』と絶賛していました。トレリスもショーの大成功にとても満足していて、ファッションウィーク後に開かれたパーティでは夜遅くまで始終にこやかでとても楽しそうにしていました。」
今後
「NZは特別な国で、NZのような国は他にはないと思います。物質的ではないNZの良さを大切にし続けて欲しいですし、NZらしさを大切にして欲しいなと思います。」NZの良さを見つめる法子さん。 「今後の仕事では、トレリスは日本進出にもとても関心があるので、彼女が日本でビジネスを開始する時にお手伝いができればと思っています。でも、まずは日本にトレリスとショッピングに行きたいですね。」 「私は今とても幸せです。」達成感を感じる明るい声が響く。「でも海外に来るのが夢でしたので、私には現在何をしたいというものがありません。ですので、将来の希望を探したいと思っています。デザイナーの方でしたら、将来自分のお店が持ちたいなど夢があります。私はとても自分自身の人生が気に入っていて、友達も多くて、また仕事では綺麗なお洋服を着ることができるなど、とても楽しいのですが、何か目指すものがあった方がいいと思うので、これからそれを探したいと思っています。」