E-CUBE 2005年07月

VOL.42 7月号


NZで活躍する日本人

時代を飾るキウィ




Career up in NZ : 専門職に就いてキャリアアップ中

<ラグビービデオアナリスト:浜村 裕之 さん | メイン | ドッググルーマー:片桐 貴子 さん>

ツアーコーディネーター:スローン 令子 さん

スローン 令子 さん旅行も挙式も留学も永住視察も他では出来ないオリジナル

クライストチャーチには、大手旅行会社を含め数多くの旅行関連会社が存在している。スローン令子さんは、自らが体験した経験を生かして南島を中心としたオリジナルツアー、ウエディング、留学手配などをひとりひとりのニーズに合わせて手配している。

Reiko Sloan
スローン 令子(すろーん れいこ)

愛知県豊橋市出身。武蔵野美術短期大学テキスタイルデザイン課卒業後、北欧に短期アート留学。その後東京にてウインドウディスプレイの仕事に専念。88年ワーキングホリデ-ビザにてNZへ来る。NZ、オーストラリア、日本で観光関係の仕事を経験。96年オリジナルツアー、ウエディング、留学手配等を扱う会社を設立し現在に至る。クライストチャーチの語学学校サザンイングリッシュクルーズの日本人カウンセラーも兼任している。

jnz enterprises Ltd
E-mail: contact@ecube.co.nz  Web: www.jnz.co.nz

NZとの出会い

 私は88年、オークランドにワーキングホリデーで来ました。武蔵野美術短期大学テキスタイルデザイン課卒業後、北欧に短期でアート留学をしたときに海外や外国語に興味を持ったことがこの国に来るキッカケとなっています。それは一緒に北欧に行っていた先生が英語とスウェーデン語を流暢に使って、現地の人と楽しそうに話しているのを見て、なんてかっこいいのだろうと思ったからです。帰国後、インテリアデザインやウインドウディスプレイの仕事に就きましたが、留学以来、海外旅行に行くことが楽しみになっていた私は毎年会社の休みを利用して短期でいろいろな国に遊びに行きました。ですが、各国に行く度にいろいろな国の人と出遭うのですが、英語が話せなくて友達になりたくてもなれず残念な思いをしていたのです。そして、英語が出来たら、もっと人生が楽しくなるだろうなあと思っていたある日、立ち読みをしていた本の中でワーキングホリデー制度の存在を知ったのです。すぐに私はそれに飛びつきました。そして、オークランドに来たのです。渡航前、NZで暮らしはじめたら、簡単に英語が分かるようになり、仕事もすぐに見つかるだろうと思っていました。ですが、とんでもありませんでした。ニュージーランド人の早口英語をまったく理解できませんでしたから、仕事どころではありませんでした。
 結局、語学学校に行くことにしました。社会人になってからほとんど英語に馴染んでいませんでしたので、予想はしていましたが、1番下のクラスからでした。そのときはさすがにちょっと気落ちしてしまいました。授業では自分が赤ちゃんになったつもりで習ったセンテンスをまるごと覚え、ネイティブの人がいると無理やり覚えたセンテンスを言えるような状況にもって行き、そのまま言って練習しました。そして、3ヶ月経ち環境にも慣れていった頃、学校を終え仕事探しをしました。
 英語力が乏しかったため、探すのが苦労しましたが、お鮨屋さんのウエイトレスの仕事が見つかりました。職に就けたのは良かったのですが、外人のお客さんばかりで戸惑ってしまいました。箸の使い方からコンニャクは何から出来ているかなど、いろいろな質問を英語で聞かれました。
 そんなある日、「Bill please」と言っていたお客さんにビールのお代わりを持っていたら、ものすごい剣幕で怒り出しました。勘定のBillをビールかと思ってしまったのです。そんなにヒステリックに怒らなくたっていいじゃないかと思いましたが、運悪くその場面をしっかりオーナーに見られていました。やっとの思いで就けた仕事でしたが、10日間くらいであっさり首になってしまいました。
 やがて免税店で働いたりもして、生活していましたが、それまで、こちらの生活に慣れることに精一杯で精神的なゆとりがまったくなく、ちゃんとホリデーを取っていないことに気がついたのです。そのことから南島に1人で旅に出ることにしました。あまり行き先を決めず、1ヶ月ほど放浪しながら南島をまわりました。本当にきれいでした。この世の楽園かと思いました。特にマウントクックへ行く途中のテカポやプカキの翡翠色の湖や運河沿いのカントリーロードからの眺めはとても美しく、言葉を失ったほどでした。 

旅行業界へ 

 その後、NZでのワーホリ生活を終えてから、オペアとしてオーストラリアへ渡りました。しばらくしてガイドとして働くことになりました。経験がまったく無く、在住歴が少ない状態ではありましたが大手旅行会社のガイドの仕事に就くことができました。案内する言葉は各自で勉強して考えるように言われ、1、2回だけ先輩についてツアーに入ったら、すぐに本番になりました。大型バスの先頭の座席に座り、マイクロフィン片手に、緊張で手が震えながらも、必死で何かしゃべってみました。オーストラリアに来たばかりでしたから、お客さんにこちらのことをいろいろ質問してきたらお終いだと思っていましたが、しばらくしてそんなことは心配しなくてもいい事が分かりました。なぜなら最近は日本からの団体ツアーも、「スロートラベル」とかが提唱されるようになり、1ヶ所滞在型なども多く出ているようですが、当時の団体ツアーはNZ、オーストラリア両国をまたにかけ、国から国へ、都市から都市へ疾風のごとく、駆け抜けるツアーが多くありました。しかも毎日早朝出発が多かったこともあってお客様は心底疲れきっていたのです。そのため、日中はバスの中で気持ち良さそうにスヤスヤ居眠りしている方が圧倒的に多く、質問などほとんどされなかったのです。 

会社設立 

 オーストラリアにいる間、国際結婚をした私は主人といったん日本に帰り、日本で旅行会社や英会話教室の講師などのいろいろな職種を経験しました。そして、今までに体験したさまざまな経験を役立てたいという思いから、96年、クライストチャーチに戻ってきて、観光関係の会社を設立することになりました。会社を作るのは初めてでしたので、当然戸惑うことばかりでした。主人と協力しながらも、最初の3年くらいは試行錯誤の連続でした。「Eメールって何?」という状態の時に、友人が会社のWEBサイトを作って、早速それを見た方から申し込みがありましたがEメールでのやり取りがうまくいかず、結局FAXを使って応対するということもありました。また、相場から比べても手数料があまりにも安かったことでかえって、怪しげな会社だと思われるということもありました。
 小さな会社のデメリットはもちろん今でも一杯ありますが、小さな会社でしか出来ないメリットも一杯あることに気付かされました。ほとんどのお客様とは直接連絡をとりあっていますので、こちらに来られるまでに、長い方は1年くらいの間に数え切れないほどEメールのやり取りをしています。その甲斐あってか、日本で人気のある旅行ガイドブックにオリジナルツアーを紹介してもらいました。そのときから、お客様が少しずつ増え、口コミでも依頼が入るようになっていきました。 

ユニークな企画 

 せっかくこの国へ来ていただくので、なるべく多くのNZ人と直接触れ合うことができ、安全でゆったりした思い出深い旅を楽しんでいただけるように普段から心がけています。
旅行者には快適な専用車を用意し、いろいろな見所や穴場を日本語で丁寧に案内することのできる地元の経験豊富なガイドや料理上手で面倒見の良いファーム等を紹介しています。
 例えば、壮大な美しさを誇るサザンアルプスの最高峰マウントクックを訪れるらくらくマウントクックツアーやキーウイの生息する太古の森のような動物公園内を地元ガイドと一緒に探検する、太古の森でわくわくナイトツアーなどです。
 ウエディングカップルには心を込めてウエディングケーキやブーケを作ってくれる人や、そのカップルにふさわしいポエムや誓いの言葉を選んでくれるマリッジセレブラント等、心から祝福してくれる人達とNZの美しい自然に囲まれて宗教にこだわらないユニークでエレガントなウエディングのお手伝いをしています。
 この国で挙式を挙げると旅費を入れても安くできるということや日本でも最近流行のガーデン挙式など、お客様自らが挙式を自由に演出できることがこの国のウエディングの魅力です。リーガル、人前式などの挙式のスタイルや教会、チャペル、ホテル、ガーデン、邸宅などの挙式場の種類。高級ホテル、モーテル、B&B、マナハウスなどの滞在先も自由に選べますし、何と言っても、緑や花々に囲まれた日本では体験することのできないゆったりした挙式を挙げることができます。クライストチャーチでは、11月にもなると1日に何組もの日本人の挙式をしている教会もあるくらいです。
 また、クライストチャーチ周辺には、いくつかの人気の教会があることで知られています。例えば、美しいテカポ湖に面していて観光名所としても有名な善き羊飼いの教会。開拓民の手によって建てられた教会で祭壇前の窓からはサザンアルプスと湖が見えます。クライストチャーチ市が一望できるカシミアの丘の上にある石造りの教会、カシミア・ヒルズ教会は、94年に賀来千賀子さんと宅麻伸さんが結婚式を挙げたことでも人気のある教会です。美しい彫刻のオーク材家具と、ステンドグラスの窓が見事な木造りの教会、ザ・メモリアル・チャペルは、色とりどりのバラの庭園に囲まれています。この国で最も古い石造りの英国風の教会、ダーラム・ストリート教会は、石細工とステンドグラスの窓、そして大きなパイプオルガンの音色が挙式の演出効果を高めます。
 最近では「クジラやイルカに遭えることで有名なカイコウラの海の見えるファームで羊に囲まれて」や、動物好きの方にお勧めの「動物園内でキリンに餌をあげながら」、「熱気球の中で空中遊泳を楽しみながら」、さらには「先住民マオリ族の風習に則ったウエディング」など、より個性的、よりNZらしいプランも人気を呼んでいます。
 私たちのウエディングは、大勢で格式ばった挙式というよりは、カップルだけ、または少人数で、NZの開放的で美しい自然に囲まれて、気軽に楽しくできる挙式プランを得意としています。1組1組異なった、完全にオリジナルなウエディングを提供していて、手配に少々時間がかかりますので、月に2組のみ、ウエディングの手配をしています。
 留学生には信頼のおけるホームステイや地元でも評判の良い高校や語学学校を選び、最初に1人づつ丁寧にこちらでの生活に役立つ情報を提供した後は、なるべく早く自力で暮らしていける自信がつくようなサポートをすることを心がけています。 

やりがいのある仕事

 来年で会社を設立してから、10年目になりますが、ここ数年はいろいろな方の紹介で、それぞれの専門分野で活躍されている方や、永住希望の方の視察など、特別企画をやらせてもらえる機会に恵まれました。目的を持って来られる方々の手配はやりがいがあって面白いので、つい力が入ります。時にはハプニングなどもあり、大変なことは尽きませんが、お客様から「無事に帰りました。NZ最高でした。また行きます。」などのEメールをいただくと本当に嬉しく、さらなるやる気が沸いてきます。是非とも案内したい、とっておきの場所や、会って欲しいステキなニュージーランド人達。また、自分達の仕事が楽しいと感じていられる限り、これからもマイペースに、できるだけ質の良い仕事を続けて行きたいと思っています。

ツアーコーディネーター:スローン 令子 さんと連絡を取りたい、勉強したい、体験したい、資格を取りたい、この分野で仕事をしたいと言う方はイーキューブ留学セクションまで、お問い合わせ下さい。

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