Vol.108 Career up in NZ ニュージーランドのフィットネスインストラクター |
個人の運動を指導するパーソナルトレーナー。遠藤誠さんはプロの格闘家から、一般の人の健康管理まで幅広い層の人の指導を行っている。エアロビクスのインストラクターから始まり、プロ選手のトレーナーへの道のりは、相手のリズムを楽しむところにあったという。
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 海外への思い 私がニュージーランドに来たのは95年のことです。日本でもフィットネスインストラクターとして働いていたのですが、常に海外は意識していました。音楽に合わせて行うフィットネスはやはり海外が本場という意識が漠然とあったからです。それと同時に、その数年前にニュージーランドのフィットネスクラブ「Les Mills」のヘッドインストラクターのブレッド・フェアウェザー氏が日本で行われたエアロビクスチャンピオンシップで世界チャンピオンになりニュージーランドには何かあるんじゃないか? という思いがあったのです。また、妻がニュージーランド人ということもあり、これは運命だと思い、渡航してきたのです。 自転車で職探し こちらに来て最初にやったことは職探しでした。それまで日本でエアロビクスのインストラクターやジムの指導などに携わってきましたので、ここでも同じことで働きたいと、自転車に乗ってフィットネスやジムの看板を探して、飛び込んで行ったのです。そうしてやっと決まったのがユニテックのフィットネスセンターでの仕事でした。 日本での経験がありましたので、技術的なことに関しては「やっていける」という自信はありました。後は英語でそれをどう指導するかです。そこで、ビデオを見たり、他のインストラクターのクラスを録音して、それで何を言っているかを書き出して、そのまま真似をするエアロビクスの「叫びの練習」をしました。その甲斐あってか、数カ月後には上司や同僚から、「誠は普段は何を喋っているのかよくわからないけど、指導の言葉は素晴らしいね」と言われるようになりました。 このユニテックでの仕事をスタートにその後、契約するフィットネスクラブは増えていきました。私はいわゆるフリーランスですので、いろいろなフィットネスクラブを掛け持ちで行いっていました。多い時では8つぐらいありました。 集団から個人へ そうしたインストラクターを続けているある時に怪我をしてしまいました。それをきっかけに、少し自分の仕事を見つめ直す機会ができたのです。それで、今度はエアロビクスのように多くの人に対しての指導だけでなく、個人の指導ということも視野に入れようと思ったのです。それで数々のワークショップへ参加したり、AUT(オークランド技術工科大学)の資格を習得したりしました。様々なパーソナルトレーニングのための知識やスキルを学びました。 とは言っても、すぐに私にクライアントがついたわけではありませんでした。エアロビクスを続けながら4、5年は足踏み状態が続いたのです。叫びはいいんだけど、やはり会話となると、言葉の壁があるのだろうか? などとその時はずいぶんと悩みましたが、あるジムでエアロビクスもジムのトレーニングも両方できる人を探しているという仕事があり、それをきっかけにパーソナルトレーナーがスタートしました。 プロ選手との出会い 個人の運動指導をはじめて数年がたった時です。古巣のユニテックから「キックボクシング・エアロビクス」というのをやらないかというオファーがあり、実際に自分が指導することになりました。それを調べて行くと、エアロビクスの方面ではほとんど資料がなく、キックボクシングや空手など、格闘技の方の文献をひも解く必要がありました。また、同時進行中だったオークランド大学でのバイオメカニクスの勉強にも関連性が多くありました。そのようにして格闘技に関する知識が増えていったのです。 そんな私のことを知っていたからでしょうか、あるユニテックのスポーツ科学の先生から、K1のマーク・ハント選手のトレーニングキャンプに行くからアシスタントとしての参加を誘われました。そこで、私はストレッチ運動の部分を担当したのでした。 こうした格闘家との出会いがきっかけで、その後、K1ではレイ・セフォー選手、キックボクシングやボクシングの選手、中にはオリンピック選手など、様々な格闘家のパーソナルトレーナーの仕事が入ってきました。格闘技をする大きなキウイたちの中にいる小さな東洋人。周りのみんなは私のことを変わったやつだと思っていたことでしょう。 プロ意識 「あなたはニュージーランド人にかかわらず、様々な移民者と仲良くできる。とくにパシフィック・アイランドの人たちとうまく付き合うことができる、そこが、長所。」と妻にはよく言われます。実際、格闘家の人たちはそういった島の出身者が多いのは確かです。彼らとつき合うには彼らのリズムを理解する必要があります。たとえば時間に対しての感覚。約束の時間ぴったりに来る人はなかなか少ないです。もちろん几帳面な人にも出会ってきていますが、時としてはスッポかされることもあります。普通の感覚でいれば、怒ってしまうこともあるでしょう。しかし、だからと言って彼らにやる気がないわけではありません。私は、それに対してなぜか腹が立つことがなく、いつも、待っている間に、今日もし、来たらこれをやろう、もし10分遅れたらこのメニューにしよう、30分遅れたらこれをしよう、と考える癖がついてしまいました。そして「なんで遅れたんだ? なんで来なかったんだ?」とは決して言いません。「ごめん、俺も間違えて遅れてきたよ」と相手の時間のリズムを楽しんでしまうのです。モチベーションを作ることも私の大切な仕事で、それが私にとってのプロ意識です。また、差別的・軽蔑的な考え方には立たず、選手やクライアントの特長を見つめ、大切にするのが大好きなのです。こういった触れ合い法もプロ意識の内かと思います。 これまで振り返ってみると、仕事がうまく回らなかった時期ももちろんありますが、その時に蓄積した知識やスキルが次の糧となっているのだと実感しています。 普段の生活の中で、自然や外で楽しむ場所が多いニュージーランドは健康でいる方が絶対に楽しみが多い国です。ですから、今後ももちろんプロの選手たちのサポートを続けるとともに、せっかくのこのスキルをもっと一般の方達とも共有できればと考えています。
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