今年のニュージーランド・カリナリー・フェア、チョコーレート、デザート部門で見事、金賞を受賞した林さん。ニュージーランド留学をきっかけに、子供の頃から好きだったパンやお菓子作りをこれから将来の仕事に選んだ。NSIAで取ったパティシエの資格と金賞受賞を生かし、目下ニュージーランドでワーク経験中。
【Profile】
林 耕平 Kohei Hayashi
1985年6月8日生 徳島市出身。高校を卒業して大阪の英語専門学校へ。専門学校を卒業した20歳の時、まだ足りなさを感じてニュージーランドへ留学。ネルソンで半年間英語を学ぶ。2010年4月に再びニュージーランドへ留学。NSIAで1年間のPatisserieコースを終了後、今年7月、ニュージーランド・カリナリー・フェアのチョコレート、デザート部門で金賞を受賞。
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英語だけではない留学を目指した。
チョコレートは温度に敏感。とてもデリケート。
一緒に出場した仲間と励ましあい、協力し合った
NSIAは日本人学生が少ないので、自然と日本人同士の輪ができた。
私は高校を卒業して大阪の英語専門学校に行きました。そこを卒業した20歳の時、まだ英語力にもの足りなさを感じたので、ニュージーランドのネルソンに半年間語学留学しました。それは楽しかったですよ。ネルソンは、気候もお天気も良くて過ごしやすいところだったので、ニュージーランドがとても気に入りました。自然が好きでトレッキングも好きですから、その時に南島一周なんかもしました。ミルフォード トラックなど素晴らしかったです。
それで日本に帰国した直後から、また再びニュージーランドへ行こうと資金を貯金し始めました。次は英語だけではなく、手に職をつけるため、何か資格が取れる学校に留学しようと思いました。そして大阪のカフェベーカリーで働き始めました。
もともと小さい頃から、ベーキングが好きだったんです。母がお菓子作りが好きで、ケーキの型とか、お菓子作りの道具を集めていましたので、それを使っていろいろと作っていました。母に習ったとか一緒に作ったというのではないのです。あくまでも、自分の隠れた趣味でした。特にパン作りが好きでアンパンとかメロンパンが得意でしたよ。でも学校で友達に言ったり、持って行ったりしたことはありませんでした。
カフェで働いていた時は、キッチンでパンを焼いたり、お菓子を作ることはありませんでした。そのカフェには別の場所にある工場で焼き上がった商品が運ばれて来ました。そして、それを並べたり、売ったりするのが自分の仕事だったのです。
それでも、その商品の中に自分の好きなパンがあると、よくそれと同じものを家で自分で作ろうとしたものです。インターネットや本で作りかたを調べたり、想像したりして。
はっきりとした目的を持った。
去年の4月にNSIAの1年間のNational Certificate in professional cookery level 4(Patisserie strand) コースに入学しました。今年学校はそのコースをアップグレードしてCookeryとPatisserieの両方の資格が取得できるDiploma in International Cookery and Patisserie level 5を始めました。これはニュージーランドでNSIAにしかないコースです。
学校はたいへん面白かったです。先生方は全員プロのシェフですから、理論だけでなく、経験から出てきた興味深い話が聞けます。また、西洋料理の基本として、スープストックの取り方など、一見パテシエとは関係ないかの様なこともたくさん学びました。
今年の4月に無事にコースを終え、就職活動に入りましたが、同じ頃、学校が今年のニュージーランド・カリナリー・フェアにエントリーする生徒を募集していましたから、それに応募しました。学校を代表して出場するということですから応募した生徒全員がエントリーできるわけではなく、選考がありました。自分がエントリー資格者に選ばれたのは、選考のための面接で、何をやりたいのか、どうしてしたいのか、の2点を明確に答えることができたのが理由だと思います。
見事に金賞を受賞。
フェアに出場することが決まったのが5月。それからの2ヶ月間は、新しいデザートのアイディアを出しては試作してみる、ということの繰り返しでした。学校が全面的にバックアップしてくれたので、授業でやらなかったことも学べました。材料も学校がそろえてくれましたし、指導の先生がいつでも相談に乗ってくれたり、アイディアを補佐してくれたりしましたからそれはとても有意義な期間でした。
例えば、自分はマカロンが好きなのでそれを競技用の作品に取り入れたいと思ったのですが、先生が、それならソースのところに飾りとして取り入れたらどうかと提案してくれました。Midoriというお酒を使ったグリーンのマカロンとチョコレートのマカロンです。その2種類のマカロンを自分が思ったとおりの色、ツヤに仕上げるのも並大抵のことではありませんでした。何度試作を繰り返したことでしょう。ある日は、1日中マカロンだけを繰り返し作ったこともありました。最終的にエントリー作品の案が決まったのが、本番の2週間前。それからは何度も何度も同じデザートを作る練習を重ねました。
フェア本番の前日は、学校のキッチンで徹夜で準備でした。気持ちが張り詰めていて、しかも寝ていませんから、その結果、実際に会場に行く当日早朝には、意識がとてもハイになっていました。だから、競技会の本番は何がなんだか分からない、無我夢中の自分でした。
自分が参加したチョコレートのデザート部門は、決められた時間内に全く同じデザートを4皿供することが課題でした。審査員は定規を持って、ソースの位置までを測る厳密さでした。金賞を受賞したことを知った時、本当に嬉しかったです。達成感がありました。

金賞を受賞した林さんのチョコレート デザート。
ニュージーランドでワーク経験を積んでから、先のことは考えたい。
NSIAで取得したパティシエの免許、それから、カリナリー・フェアで金賞を受賞したことを生かし、ニュージーランドでホテルのペストリーシェフとしてまたはベーカリーで、実務を経験をするつもりでいます。とりあえず、3-4年はニュージーランドでがんばりたいです。
経験を積んで自分が一人前のプロになったと自覚したら、その時点で将来どうするか、帰国するか、あるいはニュージーランドに永住するか、または、自分の店を開くかなどを考えたいと思っています。
今のところ、趣味だったベーキングを仕事にできることはとても嬉しいのですが、その、好きだ、という気持ちが実務に就いてもずっと続くといいなと思っています。
この記事を読んでNSIAやCookery, Patisserieのコースに興味があるという方、留学をお考えの方は下記のお問い合わせよりイーキューブのキャリアアップ留学センター「イースクエア」までご連絡ください。
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