「移住、永住権に有利な資格」。海外への移住を考えるとき、そんな謳い文句を目にすることは少なくない。一昔前にそのように言われていた「園芸」コース。ガーデニングというイメージで人気もあるコースだが、実際には大変なことも。Manukau Institute of Technology のHorticultureコースで学ぶ佐藤真弓さん。現在、海外移住の夢を叶えるため夫婦で力をあわせてチャレンジ中。何故Horticultureのコースを選択したのか。学校で勉強していること、将来の計画について話を聞いた。
【Profile】
佐藤真弓(さとう まゆみ) 1983年11月4日生まれ。鳥取県出身。名古屋大学農学部卒。
日本では半導体の貿易企業で勤務。Manukau Institute of TechnologyでCertificate in Horticulture Level4を勉強中。勉強の合間にホリデーや土日を利用してニュージーランドのファームを尋ねることも。
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あこがれを現実にしよう!
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コースの先生と。授業はいつも笑いが絶えず楽しい。 |
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トマトを使い、農薬散布の仕方を学ぶ。園芸と一言で言っても幅広い知識が必要。 |
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クラスメイトと一緒に。年齢問わず、皆が真剣に学んでいる。 |
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授業では、園芸のこと以外にカスタマーサービスについてなど、一般的な知識についても学ぶ。 |
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私のニュージーランドとの出会いは大学の時。大学1年の夏休みにアメリカに短期留学したのをきっかけに、英語力をもっとつけるため長期留学を考えていました。大学は農学部だったので、農業と関係した国がいい、そうして選んだのがニュージーランドでした。クライストチャーチの語学学校に6か月通い、その後は学校に紹介してもらった職場で3か月インターンをしました。限られた時間での滞在だったこともありますが、とても楽しい1年間でした。これを機にいつかニュージーランドに住みたいと思うようになりました。といっても、永住権を考えていたのではなく、例えばリタイアしてから、ホリデーで観光に、仕事でニュージーランドに行けたらいいな、と思う程度でした。そうこうする内に大学を卒業し、日本の半導体関連の貿易の会社で働いて、そこで出会った男性と結婚しました。その主人も偶然にも大学時代にワイカト大学に留学していて、同じようにニュージーランドへの憧れを持っていました。ニュージーランドに住みたいね、と付き合っていた頃からよく話していました。だったらまだワーキングホリデービザが使えて、子供もいない、選択肢の多いうちに行動しよう!ということになり、結婚を機にニュージーランドへの移住にチャレンジすることにしたのです。
どのコースをたどるのが自分たちにとって現実的なのか。
移住計画は2年ぐらいかけて準備しました。永住権、学校、生活面の情報収集など、インターネットで調べたりニュージーランドに繋がりのある方にコンタクトをとったり。まず現実的に考えなければいけなかったのはお金の問題ですね。引越代、生活費、学費にいくら必要か、その間にどれぐらい貯金できるか。結婚式も予定していたので、その予算も考えたり。エクセルを使って綿密に計算しました。最初は主人も一緒にニュージーランドに渡航する計画でしたが、予算面と万が一途中で帰国するリスクを考えて、まず私だけ渡航することにしました。もう一つ悩んだのは学校の選択です。私が農学部卒で、主人は商業関係の学部卒。調べてみると、Skilled Migrantのカテゴリーで申請するには、私の農学部の学歴を基に計画を立てるほうが良さそうでした。といっても、ニュージーランドで仕事を探す人脈や知識はほとんどありません。仕事で英語は使っていましたが、それもニュージーランドで生活するにはまだまだ。そのため、学校へは就職へのステップアップの目的で、農業や園芸関係のコースに入学することにしました。3年間のBachelorや2年間のDiplomaコースは予算面でも難しかったので、1年コースに焦点を当てて探しました。そうして見つけたのが、 Manukau Institute of Technology(マヌカウポリテクニック工科大学)のHorticultureコースです。
基礎から学ぶことが大事
私が勉強しているCertificate in Horticulture Level4は、園芸の基礎について学ぶコースです。授業は毎週、月、火、水、9:00am-4:30pmまで。あとは校外学習としてワークショップやボランティアなどが時々あります。週3回の授業なら、日本での生活を考えれば楽勝と思っていたのですが、慣れない英語で一日授業を受けるのはとても大変で、最初の頃は特にへとへとでした。クラスは10人程度の小規模。留学生は私ひとり。他は皆、ニュージーランド人や永住権を持っている中国人や韓国人。若い方もいますが、30代、40代といった方々も多いです。コースでは実践的な内容が多く、植物を育てたり、害虫駆除や農薬散布の方法などを学びます。他にもニュージーランドの固有種について学んだり。英語の部分で課題や試験など大変な面もありますが、大学時代の知識と、園芸への興味に助けられています。日本の大学では、農業を社会的・経済的な視点で勉強することが主だったので、実践的なスキルを基礎から学ぶのは今の自分にはとても必要なことですね。園芸コースを卒業した後の進路としては、Nurseryという商業用の苗を育てる職業や、シティカウンシルで町づくりや造園の際に植物の選定についてアドバイスする職業などがあります。私は将来的には、農産物や生花等園芸品を輸出入する貿易の仕事に携わりたいと考えています。日本でも分野は違いますが、貿易の仕事に従事していました。そこではただの仲介者ではなく生産者側と購入者側の両方を理解することが求められます。今は基礎からのスタートですが、この先実際に植物を育てる仕事を経験すれば、将来的に貿易の仕事に携わる時、役立つ経験になるのではと思っています。
有利かどうかと一緒に「好き」を基準に。
園芸の授業は実践的ということもあり、体力が求められます。畑を耕したり、大きな木を伐採したり、炎天下の中雑草を抜いたり。週一で家の近くのガーデンにボランティアに行っています。そこは無農薬栽培のガーデンでコンポスト(堆肥)を作っています。無農薬、オーガニックというと響きはいいですが実際には言葉どおり泥にまみれる仕事です(笑)。私は小柄なので、土を耕すにもスコップが動かない・・・なんてこともあります。授業が終わった後、筋肉痛にもなることも。たぶんニュージーランドの永住権取得のために有利かどうかだけでコースを選択していたら続けるのは難しかったでしょう。移民法は変わるので、それに沿って自分に最善な道を計画するのは大切です。でも、途中には苦しいこともありますし、永住権をとっても働くことは続きます。「好き」という基準で選んだ道だからこそ、がんばれるんだと思います。
自分の弱みも、場所が変われば強みに、、、。
7月のタームホリデーでは、蘭の栽培と輸出を行なう会社でアルバイトをします。農薬散布や花の手入れなど、ボスの後をついて色々教えてもらう予定です。実は、通常は単純作業のみのスタッフしか募集していないのですが、頼んで見習いにしてもらえました。ボス曰く、私の小柄なサイズが気に入ったそうです。というのも、蘭の栽培は繊細な仕事で、作業中に花を傷つけたり、刺激して受粉させてしまってはせっかくの商品が台無しになってしまいます。だから、私のような小回りの効くサイズが望ましいというわけです。力仕事では不利ですが、細かい作業の分野であれば自分を売り込めそうです。9月には主人もニュージーランドにやってきて、11月にはこのコースも終わり、いよいよこれから職探しが本格化します。ニュージーランドにやってきて半年、良い経験を積めていると思います。まだまだチャレンジ途中ですが、夫婦で力をあわせてがんばっていきたいです。
この記事を読んでManukau Institute of TechnologyやCertificate in Horticultureに興味がある、ニュージーランドへ留学してみたいという方は、下記のお問い合わせよりイーキューブのキャリアアップ留学センター「イースクエア」までご連絡ください。
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