ニュージーランドに来て真っ先に感じる事は「英語が日本語のように話せたら・・・」に違いない。もし命や健康に関わる緊急時、お金・ビザがらみのシリアスな場面で英語が話せなかったら、聞き取る事ができなかったら、英語が分からないと事が進まない。そんな時に役立つ通訳のサービスがLanguage Lineだ。月〜金は午前9時〜午後6時まで、土曜日は午前9時〜午後2時まで利用できる。
政府機関のThe Office of Ethnic Affairsが運営しているこのサービスは発足してからすでに十年以上が過ぎたが、未だに知名度が低く、Language Line のサービス自体を知らない人が多い。利用料金のかからないサービスなので必要な時にはぜひとも使って欲しいと積極的にPRに動いているのはLanguage Lineの立ち上げから参画し、代表を務めるDiana Clarkさんだ。
【Profile】
Diana Clark
Language Line, Manager
ウェリントン生まれ、育ち。もともと英語の先生でニュージーランドの中学校や高校で教鞭をとる。サウジアラビアで10年、キプロスで5年、イギリスのブリティッシュカウンシルで2年海外での英語教育に携わる。その後Language Lineの立ち上げメンバーとなり、現職。ウェリントン在住。
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Language Lineを知っていますか?
政府機関、警察、国税局、病院などとのコミュニケーションはむずかしいですよね? そう思ったら、Language Lineを利用してください。日本語の通訳を紹介します。お金はかかりません。自分の電話を通して通訳につなげてもらう方法と政府機関、市役所、警察、国税局、病院など100ほどのLanguage Line提携機関を訪ねてそこの電話から通訳につなげてもらう方法があります。
自分から各Language Line 提携機関に電話をする場合:Language Line提携機関は保険、税金、住宅、家族関係、法律、教育、不動産、警察、病院などあらゆる分野の連絡先が登録されています。これら提携機関はLanguage LineのウェブサイトかLanguage Lineが発行する小冊子に掲載されています。それらの提携機関へ電話をする時には二つのことを英語で言ってもらえれば、通訳につなげられます。それらは「ランゲージライン、プリーズ」と「ジャパニーズ」だけです。通訳につながる時間は通常2分以内となっていますのでお待ちください。
Language Line提携機関を訪ねる場合:提携機関を訪ねたら、スタッフに「ランゲージライン、プリーズ」「ジャパニーズ」と伝えてください。スタッフはLanguage Lineから受け取った専用番号にかけて通訳につなげてもらいます。つながるまで通常2分以内ですのでお待ちください。
Language Lineは28カ国語、6つの提携機関で2003年に始まりました。当初はオーストラリア在住の通訳と契約したため、地名や用語への理解がなくて問題視されましたが、今は44カ国語に対応し、提携機関も約100に増えました。日本語の通訳もニュージーランド在住で15人ほど登録しています。
Language Line提携機関には
NGO(非政府機関)も
100ほどに増えた提携機関の中にはギャンブルで問題を抱えた際に相談するGambling Helpline、鬱病の際に助けを求めるDepression HelplineなどのNGOもあります。また、大手電力会社Mercury Energy、Genesis Energy、Meridian Energyなども含まれています。
このように利用範囲が広がって来ているのですが、まだ想定しているほどの利用がない状況です。これは、Language Lineのサービスそのものがまだ知られていないからではないかと思います。それでもLanguage Lineには週1,000〜1,300本の電話が入ります。3月は日本人の通訳につなげた回数が237回ありました。過去9ヶ月の平均166回と比べると頻度が高くなっています。
日本語は六番目に利用の多い言語です。一番多いのは中国語で、以下、サモア語、トンガ語が続きます。サモアやトンガの人ならば英語ができるのではないかと日本人は思うかもしれませんが、実はサモア人とトンガ人の年配者が多く利用するのです。彼らは時々英語ができる子供に通訳をさせようとします。しかし、それは私たちが目指す事ではありません。問い合わせの内容には子供は知らなくていい事もあります。英語ができなくても、問題を自分で処理できるようにする事が、Language Lineの狙いだからです。
Language Lineの通訳
Language Lineに登録している通訳に必要な資格はニュージーランド国内の通訳資格です。通訳に求められるのは中立的な立場でいる事です。通訳する内容は個人的で繊細な事を含む内容である事がよくあるからです。通訳が依頼者と知りあいだという事で必要以上に感情移入したら、いい通訳はできません。例えばあなたの知りあいが通訳として紹介されて、電話に出て来たらどうでしょう? 個人的な事を知人に知られるのはいい気持ちがしないと思います。また、知人の通訳も立ち入った事を知りたくないと思います。そういう場合には通訳を変更する事も可能です。ですから、名前を名乗っていただく際には知人である事を分かりにくくするようファーストネームにしてもらいます。また、通訳をお願いする際に性別のリクエストも可能です。
現在契約している15人ほどの日本語通訳は長い期間仕事をしてくれるので、人材不足になる事はありません。ですが、日本語は利用回数の多い言語でもあるため、登録したいという通訳の方は連絡していただければと思います。
勤務体系はロスターによる当番制になっています。報酬は最初の15分はたとえ2〜3分の通訳であっても15分が支払われます。16分目からは1分ごとに計算されて支払われます。しかしながら、自分が担当している時間帯に通訳を頼まれなかったら、収入はありません。月曜日から金曜日は午前9時から午後6時まで、土曜日は午前9時から午後2時まで、必ず誰か日本語のできる通訳が待機しています。
政府機関なのだから24時間/週7日でサービスをするべきではないかとよく言われます。そうしたいのですが、予算的、人材的、システム的にまだ追いつかないのです。発足当初は月〜金は午前10時から午後5時まででした。2007年に9時〜6時体制になりました。土曜日はサービスをしていませんでしたが、クライストチャーチの地震のあとに9時から2時までのサービスを始めました。政府としては24/7(24時間/週7日)のサービスのやり方を見つけたらすぐにでもそうしたいのです。他の国の例を見ると、オーストラリアでは無料で24/7のサービスを行っていますが、新移住者用で最初の2年間だけが無料です。それ以降は有料で、午後8時過ぎになると2倍の料金がかかります。イギリスでは通訳料の他に電話代もかかります。他の国と比べると利用時間は限られていますが、私たちのサービスもかなり健闘していると思います。
国として初めての体験
44カ国語の通訳サービスLanguage Lineを整備して行く事はニュージーランドが今まで経験した事のなかった、想定外の業務なのです。移民でますます人口の増えるニュージーランドでは生活に必要な情報に無料で、簡単にアクセスする事は必須なのです。
病院での医療通訳利用はニュージーランドの公共医療費に含まれるため、ビザに制限があって誰でも使えるわけではありませんが、Language Lineは誰でも利用できる無料通訳サービスなので通訳が必要な際は、躊躇せずに一度トライしてみてください。
今後は業務時間を延ばす事、利用可能な曜日を増やす事を真剣に考えて行きたいと思います。
この記事を読んで、ランゲジーラインに興味のある方、ニュージーランドに留学したい方は下記のお問い合わせよりイーキューブのキャリアアップ留学センター「イースクエア」までご連絡ください。

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