オークランドで犬のグルーミングを勉強しているさおりさん。幼い頃から海外勤務だった父の姿を見て育ったため、英語に対するあこがれや海外で生活してみたいという思いが普通の人に比べて強かった。彼女が犬の仕事に興味を持つことになったのは就職してからだった。
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ドッググルーミング:脇田 沙織 さん
街で犬を見かけるとついブラッシングしたくなるくらい犬好きなんです。
1979年生まれ。広島県出身。ノートルダム清心女子短期大学英文科卒業。ニュージーランドには英語と犬の勉強をするためにやってきた。動物に関するボランティア活動も精力的に行っている。
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「短大を卒業後、看護助手をしていた母のすすめもあり、地元の病院に医療事務として就職しました。仕事は月曜から土曜日まで、カルテの記録をコンピューターに入力したり、受付、電話の応対、保険の計算などを行っていました。楽しくやりがいもあったのですが私にとってはとても平凡で単調な生活でした。その後、仲のいい友人たちが留学をしたと聞き、うらやましい、私も負けていられないと思いました。
そんなある日、同僚が「トリマーにでもなったらいいんじゃない」と言ったのです。それというのも当時、私は病院の先生が飼っていた犬を毎日のように世話をしていて、飼い主の先生より私になついてしまったからです。時には休み時間を過ぎてしまって、上司に怒られた事もありました。家で犬を飼っていた事もあったので犬は好きでした。ですが、犬をあつかう仕事を考えた事などありませんでした。その言葉が耳から離れなくなり、好きな事を仕事にできたらいいなと思うようになっていたのです。」
それから、さおりさんは犬の勉強ができる場所を探すようになった。たまたま見学に行った海外でのインターンシップの説明会で担当者からニュージーランドで犬の勉強ができることを聞き、ニュージーランドを目指し始める。仕事の休みにはエクスチェンジで英語を勉強し、渡航の準備をすすめ、02年に退職。それからわずか1週間後、23才の誕生日にさおりさんはニュージーランドに入国した。
「エクスチェンジで知り合ったキウイがクライストチャーチ出身だったことからクライストチャーチに行く事に決めました。
最初の1ヶ月間はホームステイをしながら英語学校に通いました。ヒヤリングには自信があったのですがまったく、ホストマザーの言っていることがわからず、大変ショックでした。
ここでは、英語の勉強をしながら、犬の勉強ができるところがないか探したのですがクライストチャーチはペットショップも少なく、結局教えてもらえる場所を探す事はできませんでした。」
その後、本格的に犬の勉強をするためにオークランドに移ってくる。
「自分でイエローページを見てペットショップなどの犬に関係がありそうなところに何件も問い合わせをしました。英語がなかなか通じなかったり、レッスンを募集していなかったりして、あきらめかけていました。そんな状況で見つけられたのが今、教えてもらっているグルーミングショップです。グルーミングショップとはペットのための美容室のようなところで、ペットにブラッシング、ウォッシング、トリミングなどをするところです。
問い合わせの後、オーナーのアンドレアさんに彼女の家で会うことになりました。家に行くと彼女が飼っている犬2匹と彼女が出迎えてくれました。いかにも犬が好きな人だとわかるくらい家には犬の写真がたくさん飾ってありました。
「どうして犬の勉強がしたいのか、なぜニュージーランドに来たのか、いつまで滞在するのか」など1時間ぐらい話していたでしょうか。気軽に彼女に話すことができました。
あとからわかったことですが彼女はグルーミングの分野が盛んなアメリカで勉強し、コンテストで入賞した経験も持っていました。さらにはニュージーランドのグルーミング協会の会長をしていたほど、その道では名が知れた人でした。彼女に犬のケアをしてもらうために遠方から来るお客さんもいるくらいです。
そういったことから今まで多くの人が「彼女に指導してもらいたい」と申し入れをしたそうですがなかなか簡単にOKしてくれなかったそうです。私に初めて会った時のなにげない会話で私を面接していたのだと思います。私の犬に対する思いや勉強したいという気持ちを試していたのです。」
ホームステイをしながら見習いとしてショップで働くことになったさおりさん。習う前は簡単に覚えていけるだろうと思っていた仕事にてこずり、アンドレアさんによくしかられると言う。
「最初から実践的な事をさせてもらいました。アンドレアさんの見本のあとに続いて同じ作業をするのです。ですが私は同じようにやっているつもりでもまったく違いました。
犬にブラッシングをするときのことです。毛玉になっているところを取るために、一生懸命ブラシをかけていると「同じところに時間をかけすぎ」としかられました。ドライヤーをかけるときには休憩を取りながら乾かさないといけないという事も知りました。
どの作業でも扱い方をまちがえると犬はストレスを持ってしまうのです。犬は言葉がしゃべれない分、人間以上に動物の立場になって考えながら作業する事が大切なんです。同じ種類の犬でも毛や肌の質は違うので、作業に入る前にその犬の特徴を判断する必要があります。
そういったことに注意した上で、1番重要なのは「犬のコントロール」をスムーズに行うことです。
難なくこなすアンドレアさんの作業を見ると、今の私には、もっといろんな種類の犬を扱って経験を積んでいく事が必要だと感じます。」
目的であった海外生活と犬の勉強。ニュージーランドでは充実した生活を送りさおりさんの好奇心は広がっていく。
「オークランドでグルーミングを習い始めてから犬についての興味が深まり、ニューマーケット近くにあるオークランドボランティアセンターにSociety for Prevention of Cruelty to Animalsや盲導犬を訓練する施設を紹介してもらいました。ペットを洗ったり、散歩したりする「ボランティア活動」も時間を見つけて、積極的に行っています。
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