Vol.39 Career up in NZ ニュージーランドで造園デザイナーとして就職 |
庭を造るうえで一番重要なことは手入れなのだと鈴木洋平さんは言う。どんなにデザインが素晴らしくてもきっちり手入れがされていない庭は乱雑な印象を与えることしかできず逆に細部にまで手入れの行き届いた庭は人の心を癒すことさえできる。
庭師の道へ 卒業後は学んだことと直接は関係なかったのですが、家の庭を造ってくれた親方にお願いして働かせてもらうことにしました。そこでは剪定、レンガ、ブロック工事、木工仕事など、庭に関するあらゆる技術を基礎から学ぶことができました。親方の造る曲線的なデザインの庭はとても自然な感じで好感が持て、さまざまな面で影響を受けました。 他にも、親方はリサイクル製品をよく活用していました。廃材のフェンスがドアになったり、植木のトレーを集めて周りをモルタルで固めて花壇の淵にしたり、とにかくさまざまな廃材を上手に利用していました。コスト削減はもちろんのこと、地球環境保護にも役立つ良いアイデアだと思いました。 庭師として働き始めて約2年半ほど経ったころから、他にもいろいろな国で仕事をしてみたいと思い始めました。そこで昔から興味があり、一度は行ってみたいと思っていたNZにワーキングホリデー制度を利用して渡航することにしました。豊かな自然に恵まれたNZは、山登り、ラグビー、サーフィンなどなどが大好きな私とって最適な国だと思ったのです。それに日本では仕事など忙しくてできなかった自由気ままに旅することも、この国でなら実現できそうだと思ったのです。
NZへ渡航
現地のデザイン事務所へ就職 学生時代、特に英語が苦手だったわけではないのですが、仕事をする上で一番の問題はやはり英語で、英語が理解できないがゆえの失敗は数え切れないほどあります。特にローカルの人の発音は聞き取りにくく、理解するのに苦労します。 働き始めてまだ間もないころ、あるクライアントの依頼でユッカという木を8本と、パームツリーを数本抜いたことがありますが、そのとき業者がやって来てキウイアクセントの英語で何か言ったかと思うと、ユッカを全部持っていってしまいました。てっきり上司がその業者を呼んだのだと思い込み、その木を運ぶのを手伝ったうえに「Thank You」とお礼まで言って笑顔でユッカと業者を見送りました。しかし、実は上司が依頼したのはパームツリーの方で、ユッカではなかったのです。ユッカは亜熱帯風の風貌に加え、手入れが要らず育てやすいことから人気の植物で、他の庭を造るときなどに利用できたのです。 その他でも言葉の壁はいつも問題になっていますが、「習うより慣れろ」方式で、テレビ、ラジオには積極的に耳を傾けてそこで話されている英語を理解するよう努めたり、きるだけ自分から人に話しかけ、日常の些細な会話でも大切にするように心がけています。
NZと日本の庭の相違点
常にクライアントの立場で また、実際に現場で仕事をしていると、必ずと言ってよいほど設計図と実際は違っています。実際の庭が設計図のように正方形または長方形になっていない場合は、寸法や角度を変え、最も視界に入りやすい部分の仕上がりが一番自然に見えるように調整します。また、水道メーターなど障害物がある場合、その場所によっては道の位置をずらさなければならなかったり、斜面になっている場合は傾斜の角度によっては段を造る必要が出てきたりと、その場の判断で変更しなければならないことがほとんどです。 他にも遊歩道があれば、それが歩くためのものか見せるためのものかによって道幅を変えたりと、デザイン的な視点から変更することもあります。歩くためのものなら歩きやすい幅を、見せるためのものなら庭が少しでも広く見える幅を、作業のなかで探りながら決めていきます。 家の雰囲気に合わせて庭を造ることも大切で、レンガを積むという作業一つ取っても、家の外壁や柵に使われているレンガが古い場合は新品ではなくリサイクルのレンガを使用し、目地が雑に入っていればそれに合せてわざと雑に入れるなど、庭だけが浮き上がってしまわないよう、周りとうまく馴染ませます。 上司は私の意見を快く受け入れてくれるので、現場の作業に入る前の設計段階のときであってもデザインに対して積極的にアイデアを出すようにしています。 将来は造園の技術面だけでなく、デザインから施工まですべてをこなせるようになりたいと思っています。大学で学んだ生命科学に関する知識を活かし、見た目や手入れのしやすさばかりを考えた人工的な庭ではなく、植物があるべき姿で生育できる、植物のサイクルまでを考えたより自然な感じの、人間と植物が共存できるような庭を造りたいです。それもただ見せるためだけの庭ではない、その庭の持ち主が楽しんで庭いじりをできるような庭を造りたいと思っています。庭を造るうえで一番重要なのは手入れです。雑草抜きや剪定など、とても地味な作業ではありますが、この作業なしに美しい庭を作ることは出来ません。手間をかけて手入れをすればその分だけ庭は必ず応えてくれ、人の心を癒すことさえできるものです。そんな庭いじりの楽しさを出来るだけ多くの人に知ってもらいたいです。 そのためにも、まだまだ自分には足りないものが多いので、近年中には造園の古い歴史を持つイギリスに留学してきっちりと造園の勉強をしたいと考えています。 造園デザインを学ぶ留学をしたい、体験したい、資格を取りたい、この分野で仕事をしたいと言う方はイーキューブ留学セクション、イースクエアまでお問い合わせ下さい。 |