Vol.14 Career up in NZ ニュージーランドでアウトドアガイドに |
ニュージーランドで日本人女性の活躍が増えている中、ついに女性アウトドアガイドが現われた。世界中から自然を求めて人が集まるこの国では、単に野外活動の技術だけではなく、英語も必須となってくる。それらをクリアーしオークランドのキャニオニング会社で働く神保智子。渓谷をロープを使って下り、水の中や小川を歩いたり、深い水溜りにジャンプして飛び込んだりするキャニオニングは日本ではまだ馴染みが薄い言葉であるが、これから広めていきたいという。
キャニオニングとはロープを使って崖を降りたり、淵になっているところに飛び込んだりして川や沢を下ってくる自然遊びのことです。多くの人は子供の頃に経験したことがあるのではないでしょうか。川に入って全身ずぶ濡れになって家に帰って、親にあきれられたり、危険だと注意されたりした、あの小さな冒険です。それを大人になった今、ウエットスーツを着て、ハーネスをつけて堂々と楽しもうというものなのです。 智子がこの国に来たのは99年の5月。高校3年生で進路を決めるときに海外留学を決意。英語の先生に相談したところ、薦められたのがニュージーランドであった。
留学の目的は英語を学ぶことでした。それで日本の高校を卒業してすぐにこちらに来て、ワンガレイの高校に通いました。しかし、英語そのものを学ぶだけでなく、何か他に目的があった方が早く身につくと思い、11月にIELTSを受け、高校を途中で辞めて翌年の2月からAUTのDiploma in Fitness Trainingに通うことにしました。そこはフィットネスクラブのインストラクターを養成するコースで、栄養学や生理学など人体の仕組みから経理・経営まで、独立するのであれ、スポーツクラブに所属するのであれ、インストラクターとして必要な要素を学ぶコースでした。そこで一年間勉強をして、いよいよ卒業そして仕事をするとなった時に、私は一日中室内にいるのではなく、外へ出て仕事がしたいと思いました。 日本ではなく海外に出てまで勉強をしているという意識が、常に智子にはあった。そのためキウイの生徒たちより講義を熱心に聞き、実習にも真剣に取り組んだ。その日々の積み重ねを講師の一人が高く評価した。
学校に講師で来ている一人が今の会社のアウトドアガイドだったのです。そして就職活動をしているときに彼は私をAWOL Canyoning LTDに誘ってくれたのです。 智子を採用するにあたり、マネージャーのケムさんは次のように語ってくれた。 智子はどんなことにも真剣に取り組んでいました。そのため、理解が非常に早かった。また性格も明るく積極的で、自分自身がキャニオニングを楽しみ、それをゲストと共有することができると思いました。これはガイドとして非常に重要なことだと思っています。私達のゲストはキウイだけでなく世界中の人が相手になりますから、どんな国の人とでもすぐに打ち解けなくてはなりません。その点では問題はないと思いました。彼女の英語についても問題はありません。これは採用以前の大前提です。今では大きな声を張り上げてまるでキウイの女の子のようにゲストを引っ張っています。また、彼女が日本人であることは採用とは関係がありません。ただ、これからは日本のマーケットも考えていこうとは思っています。 キャニオニング・ガイドとして研修を始めた智子は毎日のようにツアーについて行った。
キャニオニングは渓流を歩いて降りる川遊びです。ただ普通に川の上から歩いて降りてきたのでは服や靴は濡れてしまう。そこで、ウェットスーツを着て濡れてもいいようにします。また、川には狭い場所や高い滝などがあります。そういうところでは迂回するか、危険を冒しても降りなければなりません。そこで、ハーネスをつけてアブセイリングで降ります。淵があればその中にジャンプをして飛び込んだりもしますし、岩や木が覆い被さってトンネルになっているところではプールにあるウォータースライダーのように滑ったりもします。とにかく、上流から川に沿って、川の中を、まっすぐに降りて行くのがキャニオニングなのです。 シーズンオフには仕事の数は激減する。その間を利用して智子はアメリカやヨーロッパなどを訪れ、研修を受けたり別の国でのガイド経験を積んでいる。
こことは夏が逆になる北半球に行き、そこで研修を受けたり、実際にガイドとして働いたりしています。技術面を充実させようと思い、アメリカではキャニオニングのレスキューコースの研修を受けました。またスイスに行きラフティングとキャニオニングのガイドとして働きましたし、南島のネルソンでラフティングガイドもしました。 アウトドア大国と呼ばれるニュージーランドには多くのアウトドアガイドが存在し、職業としてのガイドが成立している。しかし、日本同様、ショップ経営と並行していたり、季節的な仕事であったりする場合が多く、ガイドそのものだけでの成立はまだ少ない。アウトドアガイドとしての認知度が高いフィッシングガイドでさえも、副業を持たずに一家の生計を支えるほど収入を得ているガイドはほんの一握りの有名ガイドだけであり、多くは他に副業を持つ者であったり、収入を気にしなくていい年金生活者であったり、収入バランスを考えるとガイドが副業であると言った方がいい場合もある。 冬になると仕事が減ってしまうので今年もヨーロッパに行くことも考えています。具体的なことはないのですが、それと同時にニュージーランドの中でできることも考えています。 ニュージーランドに来る人にこの国の良さを知ってもらうには自然の中に入ってもらうことが一番だと思います。キャニオニングは五感のすべてを使って楽しむことができる遊びです。つまりこの国を体全部で楽しむことができるのです。なかにはハードなイメージを持ってしまう人もいるかもしれませんが、誰でも楽しむことができます。日本から私の家族が遊びに来たときには、空港からホテルに行く前にここでキャニオニングを楽しんでもらいました。私のおばあちゃんも参加しました。 また、日本人のゲストにも、もっと参加してもらいたいと思っています。私がガイドをしているので言葉の面で心配する必要はありません。 私はガイドをしている最中はまだ緊張しています。ツアーには危険も伴いますから常に周りに気を配っていることが必要です。アブセイリングでゲストを崖の上から降ろしているときは、後ろで誰かが少しでも動くとビクッとしてしまいますし、降りるときに使う金具のカラビナは自分でもやりすぎだろうというくらいチェックしてしまいます。ボスはもう少し経験を積めば安全を確保して、その上で心からリラックスしてツアーができるようになるよと言ってくれますが、まだまだ先のことのように思います。それには技術、知識をもっと吸収したいと思っています。そうしてこれからも自然を通してニュージーランドの良さを伝えたいと思います。 キャニオニングガイドやアウトドアガイドになるための留学をしたい、体験したい、資格を取りたい、この分野で仕事をしたいと言う方はイーキューブ留学セクション、イースクエアまでお問い合わせ下さい。 |