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Kirsten Taylor
New Zealand Health Shop社長

勝亦 秀彰
Whitireia New Zealand
Bachelor of Applied Arts 留学生

大塚ゆかり
National Technology Institute学生 ほか

Vol.12 Career up in NZ

キャリアアップ

新開 由美さん
ジュエリー会社 クオリティ・コントロール・オペレーター
ニュージーランドのジュエリーはどれも個性的です


ニュージーランドには新しいことに挑戦できる機会がたくさんある。それは仕事でも同じである。趣味を仕事にすることを実現させた新開由美。人生で最悪の状況だと思ったオークランドでチャンスを掴んだ彼女は今、大好きなジュエリー・デザインで本当の自分を見つけ出した。

三重県出身。名古屋の短大へ入学後、一年目は学校近くに下宿をしていたが、都会の空気に絶えられず、二年目からは毎日5時間かけて通学していた。9年間務めていた旅行会社での経験が功を奏してクライストチャーチではツアーガイドの仕事を得る。その後もホテルのレセプショニストなど、一貫して観光産業で働いてきた。そのための躊躇もあったが、思い切ってオークランドでジュエリーの仕事に就く。

クライストチャーチからオークランドに来たときはショックでした。私は都会がイヤでこの国に来たというのに、どうしてここにいるのだろう?と思ってすべての面でネガティブになっていました。自分が生きてきた中で一番の不幸を感じていました。単に精神的に落ち込んでいたわけではありません。なにしろ円形脱毛症にまでなってしまいましたから。

日本で短大に通っていたときは都会に下宿をするのがイヤで片道約5時間かけて毎日通学していた。卒業後は旅行会社に9年間勤務。そして96年の6月に由美はニュージーランドに来た。ワーキングホリディのビザを取りワナカに向かった。目的はスノーボードをするためだった。
ワナカではシーズンパスを買って、毎日スノボ三昧でした。シーズンが終わってクライストチャーチに移り、そこでガイドの仕事を見つけました。そこで3年、その後ホテルのレセプションで2年。合計5年、クライストチャーチで過ごしました。
ところが、私のパートナーの勤務がオークランドになったのです。しかし、私はクライストチャーチを離れることができませんでした。友達もいない、第一に都会には行きたくないという思いが強かったのです。それで初めのうちはお互いに飛行機で行き来していました。しかし、そんなことは経済的に長く続くわけがありません。仕方なく私もオークランドに上がってくることにしました。01年の2月15日のことです。あんな沈んだ気持で飛行機に乗ったのは初めてだったので今でもその日のことは忘れていません。
オークランドに来てからは憂鬱な生活が始まりました。見るもの、聞くもの、すべてがイヤで仕方がありません。毎日クライストチャーチに帰りたいと思っていました。私の八つ当たりでパートナーとは喧嘩ばかりしていました。ただ、私自身、これではいけないという気持もありました。しかし、それを打開するだけのキッカケを長い間、見つけることができずにいたのです。
それで、せめて自分の好きなことでも始めてみようと思い、あるジュエリー・ワークショップが開いているジュエリー教室に参加し、指輪の作り方を勉強しはじめました。

小さなころから絵を画くことやモノを作ることが好きだった由美。タイルを割って作るモザイクやカントリー調の絵を机や木の箱に描いていくフォークアートなども趣味の一つになっている。
クラフトショップに入ってカワイイなあと思ったモノがあると、それをマネして自分で作っていました。ジュエリーの教室に通い始めて、その魅力にひかれていきました。難しくて、手間がかかる分、作品に自分の情も入ります。なにより今まで私が体験したモノ作りとは明らかに違うところがありました。これまで私が習った絵やモザイクなどは基本的な知識を教えてもらった後、自分で実際に試行錯誤を繰り返して技術を身につけていました。しかし、リング作りではそうはいきません。覚えなくてはいけない基本的な知識が非常に多いのです。それを覚え、かつ正しい技術を身に付けなければ、決して一人で作ることを先生は許可してくれません。なぜなら危険が伴う作業が多いからです。溶接やドリルでの穴あけ、色を出すために劇薬を使うなど、一つ間違えれば大きな事故につながってしまう可能性が高いからです。

通い始めて約1年。由美はこのジュエリーを仕事に結び付けたいと思った。しかしこれまでの自分の経歴はまったく畑違いのところである。すぐには行動に移すことはできなかった。<
新聞を毎日のようにチェックしてジュエリー製作関連の求人を捜しました。仕事の内容から考えて頻繁に出ているわけではありません。何度かそれらしき求人を見つけたのですが受話器を取っても、番号を押すことはできませんでした。ただ、これではいけないと思い始めたときに、今の職場であるWORTH & DOUGLASの求人が目に入り、直感的にここだと思った私は何も考えずに電話をしました。
面接へはCVと自分が作った作品を鞄に入れて行きました。最初は工場長と話をしました。彼は典型的な職人タイプの人で、職歴がいろいろと変わっているので長く務めることができないんじゃないか、英語は大丈夫か、などの質問をしてきました。後で聞いたことですが、会社としてもこれまで日本人を採用はおろか面接もしたことがなかったので、どう対応していいのかわからなかったそうです。
そこで私は、これは私にとっても大きなチャレンジです。もしできないことやわからないことがあれば、それはできない、わからないとハッキリ言うつもりだが、やってもいない今から、アレはできない、コレはわからないとは言いたくない、というようなことを答えました。
ガチガチに緊張していたのでどれくらいの時間、面接していたのかは覚えていませんが、その日に会社にいなかった社長と翌日に面接することになりました。

しかし、由美は社長との面接で泣き出してしまった。
面接の途中で、どうしてオークランドに来たの?という質問をされました。それを答えようとしたときにクライストチャーチを離れてこちらに来てから、つらい気持でいたときのことが頭を駆け巡ったのです。そうしたらいつのまにか涙が出てきて、涙と一緒に私の感情も一気に出てきてしまったのです。
しばらく泣いた後、我に返って謝りました。目の前で泣き出されて社長もきっと困ってしまい、上手い言葉が見つからなかったのでしょう、泣くのは健康な証拠だからと言ってくれましたが、時すでに遅しでした。私は大失態を演じてしまったのです。だから2日後に社長から採用の電話がかかってきたときには、信じられずに何度も聞き直してしまいました。
WORTH & DOUGLASはニュージーランドのトップジュエリーメーカーである。指輪を中心に数多くのジュエリーを製作しており、国内の製造の80%をシェアを誇っている。あの「ロード・オブ・ザ・リング」の指輪の製作ライセンスも所有しており、その注文は映画の2作目が決った今は一週間に1000個単位で入ってくるという。

最初に私に与えられた仕事は検品でした。検品というと聞こえはいいのですが、仕入れたダイヤモンドの数を黙々と数えるだけの作業でした。5センチ四方のビニール袋に米粒や大きめの砂ぐらいのダイヤモンドがいっぱい入っていて、その数が書類と合っているか調べるのです。単純なのですが、トータルで何千個という数になる作業です。しかし、私は出勤1日目だったので、みんなが声をかけてくれるのです、数を数えている途中に。そのたびにエプソンに住んでるのよ、とか、5年住んでるの、と答えて、また最初から数え直しということの繰り返しでした。

由美の採用セクションは品質管理部。工場内の各部署部と連絡を取り、注文書通りに作られるように手配することである。
全国のジュエリー店から一日に何枚もの注文書が私たちのところに来ます。これは手作り、これは型をとって作るカスティング、これは機械を使うなど、最初にそれをどの方法で作るか分類します。その他注文書には細かい指示が書いてあり、その内容は金なのか銀なのか、表面は磨きがかかったものなのか、ザラザラしたものなのか、リングに石が埋め込まれるのか、そうでないのか、など様々です。その指示の一つでも間違えればそれは商品にはできませんので、慎重にならざるを得ません。
この指示を確認したうえで、各職人さんの所に持っていきます。この工場には私を面接した工場長のレスを始めとした、職人さんがいっぱいいます。つまり、自分自身でもジュエリーを作っている私には仕事場にも先生がいっぱいいるということになります。
指示書を届けるときには彼らの技をしっかり盗むようにしていますし、また、自分が気に入ったデザインがあればその加工方法を直接質問もできます。
ある日、あまりにも私が質問するので、あきれたレスがじゃあ1回ペンチを持ってみろ、と私に言ったことがありました。私だって一年以上はジュエリー作りを勉強していてペンチくらいはと思っていましたが、案の定、持ち方が悪いと直されました。それ以降、私のセクションの仕事ではないのですがちょっとしたことを手伝わせてくれるようになり、そこでまさにプロの職人さんたちの技を直に教えてもらえるようになりました。
この工場にはこの道45年という職人のジョージさんもいます。彼はイングルーブ、つまりメタルに絵や文字を描く達人で、ジョージの手にかかればどんなものでも彫ってくれます。たとえ日本語であろうと、アラビア語であろうと、見本さえあれば忠実に同じ絵や文字を掘り込んでくれます。その実力はアメリカズカップをニュージーランドが取ったときに、カップに文字を入れたのがジョージだといえばわかるかと思います。
こうして、職場で得た技を、今も続けている週1回のジュエリークラスに持ち帰り試しています。
私のクラスの先生は今度、この国で撮影が行われる「ラスト・サムライ」の鎧をデザインして作った人であり、日本から俳優さんが衣装合わせに来たときには「あなた日本人なら知ってるでしょ?」と俳優さんが来ている事を教えてくれました。

由美は街を歩いていてもジュエリーばかりが気になるという。
ショップに入れば値段と質をチェックします。それに人の指を見る癖がついてしまい、自分の会社の指輪を見ると嬉しくなってしまいますし、変わったデザインの指輪をはめている人がいれば頼んで見せてもらいます。この国で一番面白かったことはエンゲージリングの裏に入れる文字です。日本であれば、イニシャルを入れたり、せいぜいA to Bというようにする程度ですが、キウイはストレートな表現や、二人の記念になるメッセージを入れることが多いです。お互いのニックネームであったりYou are my crazy girlなど。中にはあまりにも文章が長すぎたため、電話して変更してもらったこともありました。
ここは、まさに私にとっては仕事と趣味が一致したベストな環境で、くよくよしていた頃が遠い昔に感じます。今はニュージーランドで生活できることにすごく感謝しています。

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